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SEMICON Japan 2024

 

マクダ―ミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン、IS事業拡大でオンライン会見

 マクダ―ミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン(https://www.macdermid.co.jp/)は11月30日、神奈川県平塚市の本社からオンライン記者会見を開催、同社ジュリアン・ベイショア(Julian Bashore)社長が、日本法人発案のインダストリアル・ソリューションズ(IS)事業の拡大プロジェクト「PROJECT DOGWOOD」に関して説明した。

ジュリアン・ベイショア氏
記者会見を行うジュリアン・ベイショア氏

 

 同社のIS事業部では防錆めっきや耐摩耗性めっき、装飾めっきなど、主に自動車部品を対象に、顧客の扱う金属材料や樹脂材料に各種の機能を付与する表面処理薬品を提供している。自社開発により特殊配合された表面処理薬品としては、漆黒の三価クロムめっき「TRIMAC ECLIPSE」など、日系メーカーとタイアップして開発した独自仕様のものも少なくない。

 今回実施した「PROJECT DOGWOOD」では特に、フロントグリルやエンブレム、ドアパネルといった近年需要が拡大している樹脂製自動車部品の装飾めっきの拡張を目的に、約2億円を投資して、平塚本社3階に自動車向け樹脂内外装めっきの試作・研究ライン(パイロットライン)を新設。同階にはさらに、自動車向け内外装めっき部品の性能評価機器を新規導入したほか、日系自動車部品メーカーの海外拠点からの評価試験や研究開発などの案件に対応するハブ拠点として平塚本社を増強した。

 自動車向け樹脂内外装めっきのパイロットライン新設では、約1億5000万円を投じて、樹脂めっき、前処理、銅・ニッケル・クロムめっきといった100L試験槽60槽を配置した。これにより、樹脂関係のめっきの試作処理能力をこれまでの3倍に、防錆めっきの処理能力を2倍に増強した。自動車部品メーカーとの共同開発を推進すべく、専任スタッフを10%増員する予定だ。

 また、自動車向け内外装めっき部品の性能評価機器としては、約5000万円を投じて、温度サイクル試験機や、耐食性を確認するためのキャス試験機・塩水噴霧試験機、デザイン・意匠性を確認するためのグロスメーター、摩擦係数を測定するCOF試験機、耐摩耗性を評価するテーバー試験機などを導入した。

 日本国内の景気高揚に寄与する観点から、いずれの装置も日本製を採用している。ライン増設工事を完了して、11月18日に平塚八幡宮より神主を招いての竣工式を執り行った後、めっき槽に薬品、純水、添加剤を投入し、11月19日からパイロットラインの運転を始めている。

 パイロットライン、性能評価エリア、R&Dハブ拠点として拡張したエリアは、自動車部品メーカーなど日系メーカーとの研究開発に向けたリアルタイムのコミュニケーションを促進する場となる。ここでは、ユーザーの個々のアプリケーションに対して、①自社薬品による耐食性や物性などの性能評価を実施、②ユーザーの量産品形状に対しパイロットラインで試作し、導入した性能評価機器によってめっき性能を評価、③同社プロセスの採用、④不具合やトラブルが発生した際には解析を行い、⑤解析結果をフィードバックして、研究開発・めっき薬品の改良につなげる、という好循環サイクルを通じて最適なプロセスを開発し、ユーザーニーズに対応する最適な表面処理薬品の提供を目指す。

 ベイショア氏は、「今回の研究・試作ラインの拡張、R&Dハブ拠点としての増強により、自動車・自動車部品に最適な表面処理薬品の開発・提供を通じて日本の自動車業界に貢献するとともに、自動車業界のパートナー企業としての立ち位置を強固にしていきたい」と語っている。

新設した自動車向け樹脂内外装めっきの試作・研究ライン(パイロットライン)
新設した自動車向け樹脂内外装めっきの試作・研究ライン(パイロットライン)