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第9回ものづくりワールド名古屋

 

令和2年度機械振興賞が決定、表面改質関連でトヨタのエアレス塗装など

 機械振興協会は機械工業分野で顕著な技術成果を表彰する「機械振興賞」の令和2年度の受賞者を決定した。 表面改質関連では、経済産業大臣賞にトヨタ自動車「超高塗着エアレス塗装技術の開発」、機械振興協会会長賞にJFEスチ-ル「ツイン投光差分方式表面検査装置」が選定された。受賞業績は以下の通り。

トヨタ自動車「超高塗着エアレス塗装技術の開発」(推薦団体:日本自動車工業会)

 自動車の塗装には、高品位かつ広範囲への塗布が求められており、塗料を微細化するために大量のエアーを必要としてきた。しかし、その大量のエアーが塗装面ではね返されて、エアーに含まれる多くの塗料が無駄になっていた。本業績では、遠心微細化技術における塗料供給溝を立体化して、隣り合う溝から放出される塗料の液糸は互いに接触することなく、静電気の反発力によって微細な液滴となる装置を開発した。この静電気を帯びた液滴は、電気的に接地された塗装面に引き付けられるため、従来は60%程度であった塗着効率を90%まで高めることに成功しており、この技術を同社グループだけでなく、他社にも技術供与することを検討している。

JFEスチ-ル「ツイン投光差分方式表面検査装置」(推薦団体:一般社団法人 日本鉄鋼協会)

 鉄鋼製品表面の疵やへこみなどの表面欠陥は、外観上や強度保証の観点から非常に重要となる。しかし、自動車用の薄板鋼板以外の鉄鋼製品では表面に冷却むらや圧延の不均一性による模様、黒皮と呼ばれる酸化膜の模様があり自動検査が困難であった。そのため、毎秒数mで移動する製品を熟練者が目視によって欠陥を判別しており、非常に負担が大きく、欠陥の見逃しリスクもあった。本業績では、鋼板や鋼管の表面に2方向から1/10000秒差でストロボ光を照射し、位置ずれのほとんどない2画像の差分により平らな模様を除去した画像をAIに評価させることにより表面欠陥の発生直後に検出できるようにした。これにより、鋼材エンドユーザーからの表面欠陥による苦情の発生をほぼ抑えることに成功した。