ASTEC2021が初のハイブリッド開催
「ASTEC2021 第16回 先端表面技術展・会議」や「SURTECH2021 表面技術要素展」、「nano tech 2021 第20回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など14の展示会が、昨年12月9日~12月11日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催した。今年はリアル展示会に加えて、新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みWeb展示会とのハイブリット開催とし10615人が会場に来場、12089人がオンラインで参加した。
ASTECとSURTECHのリアル展示会では、ドライコーティングやめっき処理、ショットピーニングなどの表面改質技術、摩擦摩耗試験機や硬さ試験機、表面形状・粗さ測定機などの表面試験・評価機器の展示が見られ、以下のような展示を行った。
大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定(多層膜厚、光学定数)により、高精度な膜厚・光学定数解析が可能な顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。各種フィルムやウェーハ、光学材料などのコーティング膜の厚みや多層膜を非破壊・非接触で測定でき、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる。また初心者でも簡単に光学定数の解析ができるソフトウェアを搭載しているほか、膜厚測定に必要な機能をヘッド部に集約しているため、インラインでの品質管理にも適用できる。複雑な光学定数も解析可能(複数点解析法)。
新東科学( http://www.heidon.co.jp/ )は、一つの試験片で荷重を変えた摩擦摩耗試験が1回の測定で可能になる従来の摩擦摩耗試験機に、ステップ運転モードと直交バランスアーム方式を追加した新製品「HHS2000S」を披露した。同試験機は、一つのサンプルに複数の試験を予めプログラムした動作条件にて自動で行えるステップ運転モードを搭載。1度目の試験後に自動で測定子をピックアップしY方向ステージを動かし新たな位置から2度目の試験が行える。また、摩擦力を測定する荷重変換機を測定子直上に配置し、不要な機構を排除したことにより高いレスポンスとセッティングの誤差が極力ないように工夫した。さらに、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させ、摩擦の際の往路と復路における荷重変動をなくしたことでデータのばらつきがない信頼性の高いデータが得られるという。
新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、ブラストおよびピーニング工程における表面評価技術「Sightia」を紹介。今回は、手軽に持ち運べることから様々な現場で使用できるポータブル型X線応力測定装置「μ-X360s」、ピーニング処理の加工前・加工後の検査で正常加工品と加工漏れ・加工ムラ製品を1秒で判定する渦電流非破壊検査装置「ECNI-Ⅱ」の実機を展示した。Sightiaは、新型コロナウイルスの感染拡大により工場を省人化したい企業などからの引き合いが多くなっているという。また、ブラストにより短時間で複雑形状の製品表面をなめらかにする平滑加工プロセスを紹介。1個処理により打痕が発生しないため、高品質で確かな摺動性を確保、平滑化と同時に削食を行うため表面の異常層を除去し疲労寿命を向上するという。
東陽テクニカ( https://www.toyo.co.jp/microscopy/ )は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。自動圧子形状補正機能を装備。ISO14577 Part 1に準拠している。
日本アイ・ティ・エフ( https://nippon-itf.co.jp/ )は、次世代アークイオンプレーティング装置「アドバンスドコーティングシステム iDS®シリーズ」を紹介、3Dプリンティングによるミニチュア模型を展示した。①排気コンダクタンスの最適化で真空排気速度を大幅に向上、従来装置よりサイクルタイムを短縮、②前後大型扉の採用でチャンバー内部のメンテナンスアクセスが容易、③回転テーブルのギヤ比の最適化で、丸棒上ワークに対し均一な多元素金属窒化膜の形成が可能、④新開発の「ステアワン蒸発源」は回転磁石によりアークスポットを制御し、ターゲットを均一消耗することでターゲットコストを抑制、⑤ボタン一つで動作チェックから真空排気、成膜、冷却、大気解放までの全自動処理を実施、などの特徴をアピールした。
ブルカージャパン( https://www.bruker-nano.jp/ )は、ベーシックなナノ機械的特性評価に対応するコンパクト設計の卓上型ナノインデンテーションシステム「Hysitron TS 77 Select」を展示した。ナノ機械的特性評価で最も利用頻度が高くベーシックな手法である定量的ナノインデンテーション試験、ナノ摩耗試験、in-Situ SPMイメージング技術、高解像度の機械的特性マッピング技術を有したエントリーモデルで、オプションとして動的ナノインデンテーションやナノスクラッチの機能を用意していることなどを紹介した。
また、12月11日は事前収録による動画配信で構成されたトライボロジーセミナー「ものづくりに貢献するトライボロジー試験・評価技術」が行われた。モデレーターである東京理科大学 教授 トライボロジーセンター センター長の佐々木信也氏が、アントンパール・ジャパン、エリオニクス、三洋貿易、島貿易、新東科学、東陽テクニカにトライボロジー特性の評価・計測に関する先端機器の特徴や用途、各種事例などについてインタビューしたほか、東京理科大学トライボロジーセンターの役割や保有している充実した研究設備について紹介した。