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SEMICON Japan 2024

 

立命館大学など、ガラス平滑化の時間が2/3に短縮できる研磨技術などを開発

 立命館大学、アドマテックス、クリスタル光学、九重電気はガラスを平滑化する時間が従来の2/3にできる研磨技術などを開発した。

 新たに開発した研磨技術の一つは、酸化セリウム砥粒の代わりに、金属の酸化物粉を入れた酸化ジルコニウム砥粒を用いたもの。仕上がりの品質は維持したまま、ガラスを平滑化する時間が従来の2/3にできることを確認した。クリスタル光学では、種々の金属酸化物の種類と組み合わせを検討し、酸化錫、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀、酸化タングステンなどの高比重酸化物でこの効果を確認している。また、酸化ジルコニウム砥粒の原料で価格が安いジルコンサンド(珪酸ジルコニウム)を砥粒として用いた場合も、酸化セリウム並みの優れた研磨特性が得られることが確認できた。これら成果は、酸化セリウムを全く用いずに、供給リスクの無い、価格の安い代替砥粒の使用が可能になることを意味しているという。

 もう一つの技術は、酸化セリウム砥粒の代わりに、金属塩を加えた酸化ジルコニウム砥粒を用いたもの。同じ研磨時間で、より平滑性に優れた仕上がりになることを確認した。これら技術により、セリウムフリーでの研磨が可能となる。クリスタル光学では、種々の金属塩での検証と効果の確認、原理検討を進めている。この成果は、プロセス技術として現場に応用しやすい技術が確立できたことを意味しているという。

 これら技術は、NEDOの「希少金属代替材料開発プロジェクト」の一環として、レアアース(希土類)の一種で液晶テレビ等のガラス基板の研磨材として使われる酸化セリウムの使用量低減と代替材料の開発に取り組んでいるもの。

 今後、本研究では効果的な添加物の検討、メカニズムの検討による原理解明を引き続き行い、本年4月からグループのアドバイザーとなっている企業での評価を開始し、早期上市を目指す。また、本研磨の原理は、ガラス研磨時のラッピング(前処理の粗研磨)やガラス以外の研磨対象基板に対しても効果が期待されるため、今後の検討課題としていく。