パテント・リザルトはこのほど、鉄鋼・非鉄金属・金属製品業界を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「鉄鋼・非鉄金属・金属製品業界 他社牽制力ランキング2020」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになる。集計の結果、2020年に最も引用された企業は、住友電気工業、次いで日本製鉄、日立金属となった。
1位の住友電気工業の最も引用された特許は「車両の走行軌跡情報を利用して正確な逆走行判定を行い、その情報を報知できる危険走行情報提供装置」に関する技術で、ROBERT BOSCHなどの計7件の審査過程で引用されている。このほかには「コア材を取り出す作業の際の作業性が良い電気絶縁ケーブル」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、日立金属の「複合ケーブル及び複合ハーネス」など計7件の拒絶理由として引用されている。2020年に、住友電気工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は矢崎総業(96件)、次いで古河電気工業(58件)、パナソニックIPマネジメント(50件)となっている。
2位の日本製鉄の最も引用された特許は「自動車構成部材用成形部材」に関する技術で、東亜工業、いすゞ自動車の計4件の審査過程で引用されている。このほかには「工場にある、回転機器、加熱圧延機器などの点検装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、NEC、東芝などの計4件の拒絶理由として引用されている。2020年に、日本製鉄の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、JFEスチール(141件)、次いでPOSCO(57件)、神戸製鋼所(34件)となっている。
3位の日立金属の最も引用された特許は「発泡性樹脂を用いることなく、電気特性と機械特性に優れた細径の同軸ケーブル」に関する技術で、東京特殊電線の「多芯通信ケーブル」関連特許4件の審査過程において拒絶理由として引用されている。2020年に、日立金属の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、住友電気工業(49件)、住友電装(21件)、パナソニックIPマネジメント(19件)となっている。
そのほか、4位 JFEスチールは「汎用的に適用でき、異常を高精度に検知できる異常監視システム」、5位 古河電気工業は「接続構造体、及び半導体装置」が、最も引用された特許として挙げられる。