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SEMICON Japan 2024

 

DLC工業会、令和3年度講演会を開催

 DLC工業会は10月15日、オンライン会議システムを利用したリモート方式により「一般社団法人DLC工業会 令和3年度講演会」を開催した。今回は、「省エネルギーに役立つDLC膜の応用と信頼性評価―国際標準化とその活用に向けて―」をテーマに実施した。

 会の冒頭、挨拶に立った中森秀樹会長は当日の講演の紹介を行った後、「本講演を通じ、DLC膜の応用とISO規格活用に関して、皆様にとって良い知見を得られる機会になればと思う」と述べた。引き続き、以下の講演が行われた。

挨拶する中森会長
挨拶する中森会長

・「DLC膜のエンジンしゅう動部品への適用技術の進展と将来展望」加納 眞氏(KANO Consulting Office)…地球環境の悪化が加速している状況からSDGs(持続可能な開発目標)やESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))が求められており、トライボロジー分野においても環境と人にやさしいグリーントライボロジー技術の開発が必要になっている。これに対し、自身が自動車メーカー勤務時代にガソリンエンジンにDLCの量産技術を適用した経緯や、最近の話題として潤滑状態の良好なEHL潤滑下でのDLCの低摩擦効果について様々な論文を紹介しながら解説した。結びとして、これまでは、主に性能を上げコストを下げることを主眼に厳しい環境下でDLCが適用されていたのに対し、これからは環境を観点に良好な潤滑下でのDLC適用が拡大するのではないか、と述べた。

加納氏の講演のもよう
加納氏の講演のもよう

・「摩擦・摩耗・臨界荷重・耐荷重能試験方法とDLC膜の評価例報告」宝泉俊寛氏(レスカ)…ISO 23216(分光エリプソメトリーによるDLC膜の光学特性)とISO 20523(DLC膜の分類)により明らかにしたDLC膜について、①ナノインデンテーション試験(硬さ)、②ISO 18535(ボールオンディスク法によるDLCの摩擦摩耗評価)に準拠した摩擦摩耗試験(滑り性・凝着摩耗)、③マイクロスクラッチ試験(密着性・臨界荷重)、④DLC膜のはく離荷重能試験(密着性・疲労摩耗)について報告した。HiPIMS法により成膜したa-C膜とイオン化蒸着法により成膜したa-C:H膜の2種類を測定した結果、a-C:H膜の方が硬く低摩擦係数で摩耗が少ない結果が得られたと解説。また、密着性・臨界荷重と密着性・疲労摩耗についてもa-C:H膜が高かったと報告した。さらに、各試験における湿度環境下での結果を示し、自身の考察を述べた。なお、③と④は、同工業会がDLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化とDLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化として、ISO規格の登録を進めている。

宝泉氏の講演のもよう
宝泉氏の講演のもよう

・「DLC工業会確認マーク発行制度について」平塚傑工氏(DLC工業会)…企業および団体などが①ISO 18535:2016(DLC膜のボールオンディスク摩擦摩耗試験法)②ISO 23216:2021(分光エリプソメトリーによるアモルファスカーボン膜の光学特性評価法)③ISO 20502:2005(スクラッチ試験)を実施し、その結果が適正であることを同工業会が確認し、「DLC工業会確認マーク」を発行する制度を創設したことを紹介。申請者は①試験結果報告書、②トレーサビリティ体系図(校正証明書など)③DLC工業会確認マーク発行申請書④申請チェックシート⑤口座登録用紙を提出する。確認マークは同工業会確認マーク発行検討委員会に諮り、委員会の検討に基いて同工業会が発行する。確認マークを広く利用してもらうことで信頼できるDLCの普及拡大を図る。申込みの受付けは12月中旬頃の予定だという。

平塚氏の講演のもよう
平塚氏の講演のもよう