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SEMICON Japan 2024

 

不二越、MVP法採用で高速成膜・細穴内面成膜が可能なDLC成膜装置を市場投入

 不二越は11月1日、岐阜大学・上坂裕之教授の開発したMVP(Microwave-sheath Voltage combination Plasma)法の採用により、高速の成膜・細穴内面の成膜が可能な新型ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング成膜装置「SMVP-1020」を開発、市場に投入した。

不二越 SMVP-1020 mst メカニカル・テック社
SMVP-1020

 

 半導体製造装置のバルブ、継手、パイプ内面などの耐腐食化、耐摩耗化や、紡績機械のノズル内面の耐摩耗化、さらには金型の耐摩耗化、耐疑着化を対象に提案を進め、10台/年の販売を目指す。

 炭素を主成分とする非晶質のカーボン物質膜であるDLC膜は近年、その高耐摩耗性、低摩擦性などの特性から、アルミ切削用ドリルや、半導体・紡績機械、金型、自動車部品、プラスチック、ガラスレンズなどに幅広く用いられており、DLC成膜装置の高品質化・高速化のニーズが一段と高まっている。

 同社では今回、基材に対して負の電圧を印加することで、基材表面にマイクロ波伝搬を可能にし、基材近傍に高密度プラズマの生成するプラズマ発生法であるMVP法を採用することで高密度プラズマによるDLC膜の高速外面コーティングを実現し、さらに細穴内面へのコーティングも可能とする成膜装置「SMVP-1020」を開発、上市したもの。特徴は以下のとおり。

・高密度プラズマによる超高速成膜:MVP法による高密度プラズマにより、外面コーティングでは150μm/hrの超高速成膜を実現。標準的な アーク法やスパッタ法による従来機と比較して、成膜速度が30 倍から最大150倍程度まで向上

・内面コーティングの成膜領域を拡大:従来の技術では困難であった細穴内面のコーティングを実現し、φ30mm×500Lmmやφ3mm×100Lmmなどの小径穴内部への成膜品質を確保

・少量、多品種に対応:同社従来機より処理時間を大幅に短縮し、処理膜の切替えも容易なため、少量・多品種の処理に柔軟に対応。また、コンパクトな設計で、2台設置し交互運転することで生産効率がさらに向上

 仕様は、据付寸法が幅2.1m×奥行2.0m×高さ2.1m、成膜有効範囲が径250mm×高さ500mm、対応膜種がDLC、Si-DLC。