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SEMICON Japan 2024

 

JASIS2021開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は11月8日~10日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2021」を開催した。今年は昨年に引き続き、リアル展示会に加えてWeb展示会「JASIS WebExpo®」(11月8日~2022年3月15日)を強化、会場へ行けなかったときでもJASISの特別企画・出展企業コンテンツの一部を見られるように工夫した。リアル展示会は、270社・機関、872小間の出展と「新技術説明会」、「JASISトピックスセミナー」の講演が多数催された。リアル展示会への来場者は8490名(昨年7299名)、新技術説明会の聴講者数は4813名(同5869名)だった。

JASIS2021開催のもよう
JASIS2021開催のもよう

 ここでは、リアル展示会における表面試験・評価・分析に関連する主な製品・技術展示について紹介する。

 大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )では、最上位のゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」​を展示した。①濃度範囲が0.00001%(0.1ppm)の希薄溶液から40%までの濃厚溶液に対応した粒子径・ゼータ電位測定が可能、②平板セルユニットの改良:新開発した高塩濃度対応コーティングにより、高塩濃度環境下(154mM NaCl溶液:生理食塩水)での測定が可能となり、実際の環境下での生体適合性材料の評価を実現、③前方・側方・後方の3角度で測定・解析をすることで、分離しやすくなり正確な粒子径分布を提供できる、④ゲルの複数箇所にセルを動かしてゲル試料の散乱強度と拡散係数を複数点測定することで、ゲルの網目構造や不均一性の解析が可能、⑤静的光散乱法の活用により、溶液中の粒子濃度(particles/mL)を算出できる、⑥動的光散乱法の活用により、ポリマーやタンパク質などのやわらかい構造体の粘弾性を測定(マイクロレオロジー測定)が可能、などの特徴をアピールした。

大塚電子「ELSZneo」 ​
大塚電子「ELSZneo」 ​

 協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、主力の接触角計を紹介したほか、自動摩擦摩耗解析装置「TSf-503」を展示した。同装置は不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した。標準繰返し測定は最大12回まで往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。また同装置は、往復測定か往路のみの測定かを選択でき、往路測定の場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。さらに、4種類の荷重(100g~1000g)で静・動摩擦係数を測定し、荷重による影響を比較することもできる。また、新しい話題としては横型引張試験機の新オプションとなる高速画像取込システムと標準ステージ全高寸法を超える試料に対応した調整機構付ロードセルの紹介を行った。

協和界面科学「TSf-503」
協和界面科学「TSf-503」

 新東科学( http://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学「トライボギアTYPE:40」
新東科学「トライボギアTYPE:40」

 東陽テクニカ( https://www.toyo.co.jp/microscopy/ )は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。自動圧子形状補正機能を装備。ISO14577 Part 1に準拠している。

東陽テクニカ「iNano」
東陽テクニカ「iNano」

 日本サーマル・コンサルティング( https://therm-info.com/ )は、ナノビア社製のポータブルの3Dプロファイルメーター(ノンコンタクト方式三次元寸法・形状測定システム)「Jr25」を展示した。3Dプロファイルメーターはナノスケールからマクロスケールに至る広範囲領域の寸法計測、表面粗さ(平滑性)、形状、平面そり性、体積、厚さ計測等を短時間で正確に測定するシステム。多種のオプティカルレンズが用意されており、試料や測定範囲によりレンズを交換するだけで容易に多種類の測定が可能になる。フリーサンプルサイズで、高精度オプティカルペンを搭載。

日本サーマル・コンサルティング「Jr25」
日本サーマル・コンサルティング「Jr25」

 日本電子( https://www.jeol.co.jp/ )は、ショットキー電界放出形電子顕微鏡「JSM-IT800」に追加した、半導体デバイスの観察を得意とする「セミインレンズバージョン (i)/(is)」を紹介した。セミインレンズは、対物レンズ下部に形成される強い磁場レンズにより、電子線を集束し、超高分解能を実現するほか、試料から発生する低エネルギー二次電子を効率よく収集し、その電子を上方インレンズ検出器(UID)で検出。これにより、半導体デバイスの不良解析で必要な、傾斜した試料や断面試料の高分解能観察や分析を行えるほか、電位コントラスト観察においても威力を発揮する。また、対物レンズ上方には上方電子検出器 (UED)を搭載、反射電子像の取得や試料バイアスを併用しての二次電子像の取得が強み。試料から放出された電子は対物レンズ内部のUID filterにより選別され、UED検出器・UID検出器により、複数の情報を1スキャンで取得できる。

日本電子「JSM-IT800」
日本電子「JSM-IT800」

 パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.co.jp/ )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。スキャン制度と再現性の向上、真のノンコンタクトモードによる長いチップ寿命、正確で用途が広く、かつユーザーフレンドリーの設計と言ったコアテクノロジーを継承・発展。さらに、機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」
​ パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 フィルメトリクス( https://www.filmetricsinc.jp/ )は、世界中で5000台以上の導入実績を誇る非接触分光膜厚測定システム「F20」の実機を展示した。同品は、反射率分光法ををもとに透明もしくは半透明の膜厚・屈折率・消衰係数を1秒程度で簡単に測定できる。機種により異なるが膜厚測定範囲は1nm~250μmとワイドレンジに対応。マルチポイントでのインライン測定にも対応し、外部通信にも対応しているため、PLCやホストコンピューターからの制御も可能となっている。反射防止膜や硬質膜などの光学コーティングやCIGSやアモルファスシリコンなどの薄膜太陽電池、酸化膜や窒化膜などの半導体用途などにおいて豊富な実績があるという。

フィルメトリクス「F20シリーズ」
フィルメトリクス「F20シリーズ」

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp/ )は、多機能トライボロジー評価機「UMT TriboLab」を展示した。同試験機はモジュール交換型を採用し、あらゆる速度とトルクに対応。ボールオンディスクなどの回転試験や往復摺動試験、ブロックオンリング試験など45種類以上の規格試験が可能となっている。特許技術の2軸センサーによって荷重・摩擦力をリアルタイムに検出。ノイズレベルがセンサーの荷重範囲の0.02 %と非常に小さいことにより、高分解能な測定を可能とし、荷重レンジに応じて適切なフリクションロードセンサーを選択することで1mN~2000Nの試験荷重を実現できる。加熱は潤滑環境下で400℃、ドライ環境下で1000℃、湿度が5~85%RHに設定できるなど、様々な環境制御が行える。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部「UMT TriboLab」
ブルカージャパン ナノ表面計測事業部「UMT TriboLab」

 堀場製作所( https://www.horiba.com/jpn/ )は、同社のラマン分光装置(ラマン)と島津製作所の高速液体クロマトグラフ(LC)とを融合させた計測機器「LC-Ramanシステム」を披露した。LCは混合試料から計測対象を抽出する「分ける」技術に優れ、対象成分の正確な定量に強みがあり、一方、ラマンは分子構造の違いを判別する「見える」技術に優れ、未知成分の推定に強みがある。両社が強みを持つ二つの技術を高い次元で結合することで、①「くっきり」判別:混合試料の構成成分を明確化②「すっきり」整理/「かんたん」操作:データの一元管理と直感的な操作、③多種多様な計測アプリケーションの展開、などの特徴を有している。

堀場製作所「LC-Ramanシステム」
堀場製作所「LC-Ramanシステム」

 リガク( https://japan.rigaku.com/ )は、広角X線散乱測定装置「NANOPIX-WE」を紹介した。NANOPIX-WEは、散乱角2θが3~65°のWAXS測定に最適化されているほか、高強度X線により静的測定だけでなく、温度や外場が制御されたその場環境(in-Situ)での測定や光則寺分割測定が可能。透過二次元広角専用X線散乱測定機であるNANOPIX-WEを用いたin-Situ測定による高分子フィルムの構造評価を提案。高分子フィルム(PETシート)を高速時分割二次元XRDと加熱・延伸ステージを組み合わせて構造を評価。NANOPIX-WEを使用して透過二次元の高速時分割測定(露光時間:1s)を実現した事例を紹介した。

リガク「NANOPIX-WE」
リガク「NANOPIX-WE」