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SEMICON Japan 2024

 

サーフテクノロジー、独自微粒子投射技術で新型コロナウイルス不活性化を確認

 サーフテクノロジーは、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を施した各種の基材について、ISO 21702に則り抗ウイルス性能評価試験を実施した結果、新型コロナウイルスを不活性化する効果が得られることを確認した。

 同社では、原材料を流すためのホッパーや粉体をふるい液体を濾過するための網、商品を搬送するためのフィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案している。

 MD処理は基材表面に微細凹凸(マイクロディンプル)を形成することで、食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮。すでに、この微細凹凸によって大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることやカビの増殖を抑える効果が付与されることなどが確認されている。

 今回、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)が、研磨加工を施したステンレス基材(SUS304 #700)、同基材にMD処理を施したもの、同基材にFDA認証取得のダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したもの、同基材にMD処理を施した上でMD処理の元の凹凸形状を残すような膜厚(200nm程度)でFDA認証取得のDLCコーティングを施したものの4種を対象に、ISO 21702に則って抗ウイルス性能評価試験を実施した。

 その結果について下図で示しているが、24時間後のウイルス感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数、pfu/cm2)で比較すると、MD処理を施したステンレス基材表面上のウイルス粒子数が、未処理のステンレス基材表面上のウイルス粒子数に比べて93%減少したことが確認できる。また、MD処理後にDLCコーティングを被覆したものについても抑制傾向が認められているため、MD処理による新型コロナウイルス不活性化の効果は基材によらないものであることが示唆されている。
 

新型コロナウイルスへの効果:縦軸は24時間後のウイルス感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数を示し、横軸は左から順番にControl(SUS304 #700)、Control+MD処理、Control+FDA認証DLCコーティング、Control+MD処理+FDA認証DLCコーティングを指す
新型コロナウイルスへの効果:縦軸は24時間後のウイルス感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数)を示し、横軸は左から順番にControl(SUS304 #700)、Control+MD処理、Control+FDA認証DLCコーティング、Control+MD処理+FDA認証DLCコーティングを指す

 

 同社研究開発部 研究員の西谷伴子氏は「“抗ウイルス”という文言を使用するには99%の減少率が必要なので、今回の評価試験結果である減少率93%ではMD処理に抗ウイルス性能があると謳うことはできない。引き続き減少率99%を目指して、研究・開発を進めていきたい」と述べている。

 同社・下平英二社長は、「医学博士で新渡戸文化短期大学名誉学長の中原英臣氏が“金属表面やつり革などプラスチック表面で最大48時間も生存するなど、ウイルスはツルツルした表面を好む”と述べているように、ツルツルした表面よりMD処理のザラザラした表面の方が、抗ウイルス効果など様々な効果が期待できる。MD処理はまた、コーティングでもなく薬剤も使用しない、形状による物理的作用のため、薬剤耐性ウイルスができる心配がない安心・安全の手法だ。引き続き研究を進め、食品分野でのHACCP(危害要因分析重要管理点)による衛生管理に寄与できるMD処理の提案、普及を強力に進めていきたい」と語っている。