4月1日にジェイテクトグループ企業3社(宇都宮機器、日本ニードルローラー製造、トキオ精工)が合併した新会社であるジェイテクトファインテック(https://www.jtekt-ft.co.jp/)は、従来からの熱処理技術をもとに、熱処理の精度を高める低歪熱処理技術を確立した。
薄板(鋼板)を加工した製品は、強度を高めるために熱処理を施す場合がある。熱処理では850℃前後で焼入れした後に急冷する際に均一に冷却ができないことより膨張量と収縮量に差が生じ、熱処理歪(そり、うねり)として焼入れ後の寸法精度に影響を与える。
ジェイテクトファインテックは今回、その熱処理歪を抑制し膨張量と収縮量の差を最小限にした低歪熱処理技術を確立したもの。
低歪熱処理技術には、熱処理炉の仕様と不可欠な要素技術の双方を成立させることが重要となる。
新しい熱処理炉の主な仕様・要求特性としては、①高い生産性の確保、②多品種小ロット生産への対応、③薄板(板厚1mm前後)への対応、④高い省エネ性(変成炉不要)、⑤多様な熱処理への対応があり、これらへの対応とこれまでに培った低歪熱処理技術を基盤に、「3室ストレートスルー焼入れ炉」を採用した。
また、不可欠な要素技術として、①加熱温度と時間、②焼入れのタイミング、③加熱中の炉内雰囲気、④適正な荷姿、⑤焼入れ油の性状・特性という五つの要素技術開発を行い、あらに新たな知見を加味するとともに、各協力メーカーとの技術開発によって、低歪熱処理技術を確立した。
今回の取組みの効果は以下のとおり。
・既存熱処理炉と比較して熱処理後の歪量を約1/10に抑制し真円度を向上することで、後工程の旋削や研削を省くことが可能更に新熱処理炉は熱処理で生じるスラッジの発生が無く洗浄工程を省くことも可能
・既存熱処理炉では変成ガスを排出する変成炉を使用していたが、今回の低歪熱処理技術では変成炉が不要となりCO2排出量を約70%削減でき環境負荷物質の低減に貢献