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トライボコーティング技術研究会、令和4年度特別研究会、第13回トライボコーティング・ドライコーティング合同研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 主任研究員 大森 整氏)は9月2日、東京都板橋区の理研板橋連携研究センターで「令和4年度特別研究会」を開催した。本研究会は、第13回となるトライボコーティング・ドライコーティング合同研究会を兼ねて、リアルおよびオンラインによるハイブリッド開催となった。また本研究会はマイクロ加工懇談会などとの同時開催となった。

 当日は、大森会長の開会挨拶に続いて、関連イベントの開催状況の報告ならびに講演概要の紹介がなされた。 

トライボコーティング技術研究会 特別研究会 大森会長
進行する大森 整会長

 続いて以下のとおり講演がなされた。

・「チタン合金およびNi基超耐熱合金切削時のコーティング膜損傷とその対策、超高圧クーラントについて」臼杵 年氏(東京大学生産技術研究所)…航空・宇宙・エネルギー産業向けの難削材切削加工のためのコーティング工具の開発を行っている。切削工具のコーティング技術と特徴の解説とともに、Ni基合金の切削加工時に生じるコーテッド工具のコーティング膜損傷の事例と分析結果が紹介された。その結果、コーティング膜損傷は、表面から1μmまでの表層でのせん断破壊に起因することが示された。さらに、コーティング方法によるコーティング膜損傷の原因には特徴的な違いがあり、特にドロップレットは破壊起点になり得ることから大きく影響を及ぼすとした。また、切削時のクーラント供給について、油剤は切削領域の周辺にしか侵入できず、熱源周辺部で熱を奪い刃先の冷却がなされるものの、潤滑膜による潤滑機構は考えにくいとの考えが示された。
 

トライボコーティング技術研究会 特別研究会 臼井氏
講演する臼杵氏

 

・「ワイドギャップ半導体基板のスラリーレスダメージフリー研磨プロセス‐プラズマ援用研磨と電気化学機械研磨‐」山村和也氏(大阪大学)…新しい高能率ダメージフリー製造プロセスの研究開発の一環で、形を創り(Figuring)、表面を磨き(Finishing)、性質を変える(Functionalization) というF3プロセスとして、大気圧プラズマを援用した化学的無歪加工プロセスが提案されている。アプリケーションとしてワイドギャップ半導体基板である単結晶SiCウェハの仕上げ研磨へ適用され、プラズマ照射の援用によりスクラッチフリー、無歪状態の表面創成が実現された。また、GaNへの適用もなされ、良好な結果が得られた。続いて、焼結AlN基板の脱粒フリー研磨、単結晶ダイヤモンド基板の加工事例の紹介が行われ、スラリーレス電気化学機械研磨について紹介がなされた。
 

トライボコーティング技術研究会 特別研究会 山村氏
講演する山村氏

 

 講演に続いて、今後の予定、参画行事について紹介がなされた後、大森素形材工学研究室内の施設見学会が行われ、大気圧プラズマによる表面処理の試み、AI加工システムの基礎開発状況、ナノダイヤモンド含有砥石によるナノ表面加工について、現場での熱心な質疑と意見交換が行われた。 
 

トライボコーティング技術研究会 特別研究会 見学会
見学会のようす