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SEMICON Japan 2024

 

2022日本ダイカスト会議・展示会を開催、表面改質技術などが展示

 日本ダイカスト協会主催の「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec 2022)」が11月10日~12日の3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催、展示会では154社・団体が出展した。2年に1回の同展は、2020年はコロナ禍により中止。今回は4年ぶりの開催となった。表面合改質関連では以下などの展示があった。

2022ダイカスト展示会のもよう
2022ダイカスト展示会のもよう

 オリエンタルエンヂニアリングは、プラズマCVD法により高張力鋼板のホットスタンプ金型をはじめとした各種用途に対応し、高い耐熱性、密着性、耐焼付き性を付与する硬質薄膜「OMC(H)(Oriental Magic Coating H)」を紹介した。プラズマCVD法のため拡散効果層と薄膜を一回の工程で複合処理できる。また、成膜温度が450~550℃と工具鋼の焼戻し温度以下の低温処理により変形がないという。さらに、被膜は徐々に組成を変える多層傾斜膜となっており高い耐摩耗性の膜が実現した。耐摩耗性と離型性を有しているため、成形精度を維持しつつ金型の寿命を向上させることができる。

オリエンタルエンヂニアリング「OMC(H)のサンプル」
オリエンタルエンヂニアリング「OMC(H)のサンプル」

 新東工業は、ショットピーニングを施すことで金型表面に圧縮残留応力を付与し耐ヒートチェック性を改善することにより型寿命が2倍以上に向上する「D-CHECK」、冷却孔止まり穴部へのショットピーニングにより冷却孔の応力腐食割れを抑制することで型寿命を3倍以上に向上する「D-SCC」、ダイカスト金型に細かなディンプルを形成することで鋳造時の湯流れを変化させ、溶湯の表層の温度低下、凝固速度の違い、流速の違い、空気の巻き込みによる不良発生を50%低減する「D-FLOW」を紹介した。また、ショットピーニングを処理した製品の全数検査が可能な表面評価技術「Sightia」のPRも行った。

新東工業のブース
新東工業のブース

 ニッチューは、ダイカスト製品用のハンガータイプにより製品同士がぶつからず、傷が付かない設計のショットブラスト装置「ZHBSF-100」の実機を展示。同装置は、小ロット生産も対応可能とし、コンパクトに設計された一室式の亜鉛ショット専用機。顧客の希望により硬質研削材対応や安全仕様集塵機へのグレードアップ、制御盤の位置変更等の対応も可能となっている。また、高性能RFD-3型ローターを搭載し、駆動モーターにはインバーターを付けたことでブラストの投射速度の調整も可能。作業者への安全配慮として、ワーク着脱口にはエリアセンサーなども備えている。

ニッチューのブース
ニッチューのブース

 丸眞製作所は、ダイカスト金型向けコーティング(AlCrTiSi系複合多層膜)「MARC-D」を紹介。この被膜は緻密で耐溶着性、離型性、耐溶損性に優れており、TINやTiAlN、AlCrN被膜と比べて摩擦係数が低いという。硬度は3000Hv、膜厚2.5~4.0μm、酸化温度1100℃、処理温度は400~500℃となっている。窒化処理との複合処理を行う「MARC-D plus」も併せて紹介した。また、窒化ポテンシャル制御により用途に合った窒化層を提供するガス軟窒化処理「M-NCプロセス」は、γ'相主体の化合物層形成やε相主体の化合物層形成、ポーラス層を抑制した化合物層の形成、化合物層を形成しない拡散層のみといった機能特性に優れた表面形成が可能とした。

丸眞製作所「MARC-Dのサンプル」
丸眞製作所「MARC-Dのサンプル」