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トライボコーティング技術研究会、令和4年度第3回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は12月9日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センターで「令和4年度第3回トライボコーティング技術研究会」を開催した。

トライボコーティング技術研究会 令和4年第3回研究会 開催のようす mst 表面改質
開催のようす

 

 当日は、大森会長の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

・「都産技研 光学特性計測分野のご紹介」磯田和貴氏(東京都立産業技術研究センター)…都産技研では技術支援サービスとして、分光測定・オーダーメイド測定を通じた光学測定、光学定数や異方性などのよりミクロに踏み込んだ特性解析、エリプソメトリでの~10nmレベルの感度の膜厚解析を提供していることを紹介した。また、マイクロ~ナノオーダーの材料を基にした研究開発を行っている事例として、太陽光を対象に微細構造による光機能性の付与を試み、季節的な太陽位置の変化に着目して入射角依存の光学特性を設計し、夏と冬との間で~20%の反射率差を示す表面が得られたことなどを報告した。

・「めっき排水処理の課題とファインバブルを用いた排水処理技術」森久保 諭氏(東京都立産業技術研究センター)…めっき浴由来のアンモニアが高濃度で排水に混入することから開発したアンモニア処理技術が、少量でも影響の大きい脱脂剤由来の錯形成剤といった他の妨害物質に適用不可なため、脱脂剤削減を目指したファインバブル(FB)発生装置を利用した洗浄技術を開発。マイクロバブル発生量が高い装置では洗浄効果が高く、FB単独では気泡が届きにくい形状のワークではFBに超音波印加で付着物の除去効果が増加し薬品使用量を低減できることや、FB洗浄で亜鉛の排水処理性が向上することなどを報告した。

 講演後は大森会長が、次回研究会となる「第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム(通算第145回研究会)」について告知、シンポジウムの見どころとして「第15回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演について紹介した。大賞に輝いた東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が業績名「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」で、事業賞に輝いた新明和工業を代表して岡本浩一氏が業績名「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」で、奨励賞に輝いた慶応義塾大学 小池 綾氏が業績名「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」で、それぞれ講演を行う。

トライボコーティング技術研究会 令和4年第3回研究会 第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム(通算第145回研究会)の告知を行う大森会長 mst 表面改質
第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウムの告知を行う大森会長

 

 その後、上記講演に関連して、分光エリプソメータや紫外・可視・近赤外分光光度計、フーリエ変換赤外分光光度計などを備えた「光学計測実験室」と、FB洗浄装置などを備えた「環境負荷計測実験室」の見学会が行われた。

トライボコーティング技術研究会 令和4年第3回研究会 見学会のようす mst 表面改質
光学計測実験室の見学会のようす