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第9回ものづくりワールド名古屋

 

ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2023 第18回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2023 表面技術要素展」、「nano tech2023国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など14の展示会が、2月1日~3日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され31137名が来場、表面改質と表面試験・評価関連で多数の展示がなされた。

SURTECH2023のようす
SURTECH2023のようす

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は、多機能摩擦試験機「MFT-5000」を展示した。摩擦試験では、試験前後のサンプルの正確な深さ、粗さの変化、実際の接触範囲を測定するため、顕微鏡での詳細な観察が重要になる。MFT-5000では、摩擦試験と顕微鏡観察を1台で行うことができるため、サンプル交換の簡略化のほか、摩耗の経時変化による評価など、高いレベルでの表面形状解析に貢献できる。そのほか、一つのプラットフォームでスクラッチ試験、インデンテーション試験、3Dプロファイラー、膜厚測定といった複数の試験が可能な表面材料試験機「SMT-5000」を紹介した。

Rtec-Instruments「SMT-5000」
Rtec-Instruments「SMT-5000」

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」を展示した。ELSZseriesの最上位機種で、粒子濃度(個数)測定やマイクロレオロジー測定、ゲルの網目構造解析、多角度測定による粒子径分布の分離能の向上などを新機能として追加している。本年からはまた、ELSZneoの新機能すべては必要ないが、粒子径測定専用機「nanoSAQLA」では機能が足りないというユーザーに対し、研究内容や予算に合わせて必要な新機能を一つから選択でき、研究内容に最適な装置としてカスタマイズ化できる粒子径・ゼータ電位測定専用機「ELSZneoSE」の販売を開始した。

大塚電子「ELSZneo」
大塚電子「ELSZneo」

 神戸製鋼所(https://kobelco-coating.com/jp/)は、従来品と比べて、生成する被膜の長寿命化を達成したアークイオンプレーティング(AIP)装置「AIP-iXシリーズ」を紹介した。搭載した新型蒸発源「μ-ARC」により、被膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上でも立方晶を維持、硬質で表面粗度も良好なAlCrN被膜の成膜が可能。また、新型エッチングシステム「Me-FAPE」が奥まった部分の密着性を向上し、処理空間内でのエッチング性能の均一性も改善。これら搭載機能により、従来のハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上が確認されている。さらに、広範囲な操業データをサンプリング・表示可能な状態モニターシステムを採用、トラブル発生時のスムーズな原因特定に貢献する。

神戸製鋼所のブース
神戸製鋼所のブース

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学のブース
新東科学のブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、国内最大級の大型DLCコーティング装置による長尺品DLCコーティングのサンプル展示、薄膜の硬度、摩擦摩耗、密着性などの評価分析の紹介、膜厚測定器の展示などを行った。また、今年春頃からの販売開始となる小型で機能を限定したDLCコーティングが可能な実験用の成膜装置「水素フリーICF330-SP」を紹介。同装置は①HiPIMSによる成膜が可能②ボンバード機能を省き熱に弱い材料をターゲットに採用③真空引きを5分に短縮しタクトタイムを1/5に高速化④軽量で可搬性があるため様々な場所に移動可能、などの特徴を備えている。

ナノテック「水素フリーICF330-SP」
ナノテック「水素フリーICF330-SP」

 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」
パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 パルメソ( https://palmeso.co.jp/ )は、ウェットブラスト技術を応用して微細な粒子と水を投射することで、材料の表面から内部まで連続した強さデータを取得できる「MSE試験装置」の紹介を行った。今回は異なる基材(PMMAとPC)に膜厚6μm、9μm、11μmで成膜した同一材料の薄膜に対しての試験結果を紹介。その結果、MSE試験では基材の影響を受けずに膜だけの強さを高分解能で測定している、とした。また膜厚違いにおいても膜厚の影響を受けずに膜表面から界面まで強さを分解して表示することができる、とした。このほか、めっき前の樹脂表面改質層の強さ分析や超硬チップ表面コーティングの膜質分析と耐久性評価、自動車塗装の加速劣化試験変化などを公開した。同社では装置販売とともに受託試験にも注力している。

パルメソのブース
パルメソのブース