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SEMICON Japan 2024

 

カーボンナノチューブを用いた表面処理がサウジアラムコで採用

 竹中製作所( https://www.takenaka-mfg.co.jp )とGSIクレオス( https://www.gsi.co.jp )が共同開発した高機能表面処理「ナノテクト®」が、サウジアラビア王国の世界最大石油会社 Saudi Aramco(サウジアラムコ)にプラント用締結部材向け表面処理として採用されることが決定した。

 サウジアラムコは2015年より、カーボンナノチューブ充填ナノテクト®塗装物の高い機械的特性、耐腐食性に注目し、長期間のフィールドテストを実施、また厳しい性能評価を複層で続けてきたが、昨年までにすべての試験に合格し、2月末に社内認証もすべて完了、今回の正式発表に至ったもの。

 サウジアラムコは、既存の表面処理に比べたナノテクト®表面処理品の塗膜の高い機械的特性および耐腐食性、また超高性能由来のプラント超長寿命化による CO2排出量の大幅低減提案に対しても高く評価したという。

 今回の採用を機に、竹中製作所とGSIクレオスは、2016年に共同設立した UAE(アラブ首長国連邦)内拠点を活用し、サウジアラムコが有する巨大石油・ガスプラント等に向けてナノテクト®表面処理品の供給を開始し、これら販売活動を通じて「構造物の超長期間の保全」に向けた取組みを進め、「環境負荷の低減」と「持続可能な社会の実現」に貢献していく。

 ナノテクト®は、GSIクレオスのカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)を、竹中製作所の有する高度な分散技術と被膜形成技術を駆使して塗料内に複合被膜化したことで生まれた超高機能表面処理で、カーボンナノチューブ由来の高い耐摩耗性や衝撃耐久性に加え、業界最高水準の防錆性(塩水噴霧試験で4000 時間以上の防錆能力)などの高い性能を持つ。

CSCNT模式と塗膜内の分散
CSCNT模式と塗膜内の分散
ナノテクト®の各種性能
ナノテクト®の各種性能

 この表面処理は、2016年に「カーボンナノチューブ複合樹脂塗膜」としてJIS規格化された。これはカーボンナノチューブが含まれる工業製品としては、我が国初のJIS規格化事例となっている。

 竹中製作所とGSIクレオスは、中東沿岸地域や砂漠などの過酷環境に位置するプラントでナノテクト®表面処理金属部材(ボルト・ナット等)の販売活動を強化しており、2019年にはUAE国営石油ガス会社ADNOCグループでのナノテクト®採用も発表している。他にも中東特有の極端な寒 /温、乾/湿など激しい天候にも対応し得る表面処理として、様々な分野、用途で採用が進んでいる。