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SEMICON Japan 2024

 

エリコンバルザース、難削材加工用のPVDコーティング被膜を開発

 エリコンバルザース(本社:リヒテンシュタイン)は、焼入鋼やステンレス鋼、耐熱合金を加工する際の熱負荷に対応するPVDコーティング被膜「BALIQ TISINOS PRO」を開発した。工具への負荷を軽減し、硬度70HRCまでのスチールを加工する際の耐摩耗性を大幅に向上する。

 エリコンバルザースのHiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)技術であるS3p(Scalable Pulsed Power Plasma)テクノロジーにより、アーク蒸着とマグネトロンスパッタリングコーティングプロセスの利点を組み合わせ、従来被膜より高平滑性、均一な膜分布、高密度、高硬度、高密着性を実現した。

 現在、70HRCまでのスチールの加工はさまざまな産業で行われてり、同被膜はこれらの加工において高い靭性と耐摩耗性を付加する微細構造を持っている。被膜の高い平滑性により、均一な切りくずの排出を可能にし、スクラップを最小限に抑えることで再加工を回避することができる。AlTiSiNベースのコーティング被膜は、高い熱負荷に耐え、超硬基材を熱腐食や酸化から保護する。均一な膜厚分布により、あらゆる形状の工具を保護し、切削抵抗の低減とプロセス安定性の向上につながる。

 同被膜は、従来のコーティング被膜と比較してエンドミルの寿命を平均50%延長するという。工具を長寿命化することにより、ダウンタイムの低減や環境負荷低減に貢献する。また、エンドミルは再調整して寿命を延ばすことができるため、新しい工具の需要を約30%削減することができる。

 工具・金型部門の責任者であるアンドレアス・ライター博士は、「微細構造が改良されたことで、BALIQ TISINOS PROの特性をさらに高めることができた。このコーティングは、特に微細加工において、高品質な部品を生産する、より安定した信頼性の高い加工プロセスを可能にし、工具交換の削減につながる。また、顧客は工具をBALIQ TISINOS PROで再コーティングすることができ、工具コストを削減し、貴重な原材料を節約することで持続可能な社会の実現に向けて貢献できる」と話している。

BALIQ TISINOS PROのコーティングサンプル
BALIQ TISINOS PROのコーティングサンプル
BALIQ TISINOS PROのコーティングサンプル