日本熱処理技術協会は11月28日、29日、対面参加(製粉会館5F 第2・3 会議室:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第3回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅱ-」を開催する。
第3 回熱処理技術セミナーでは、浸炭・窒化・高周波といった代表的な表面硬化熱処理技術を中心に、これらの熱処理とは不可分な金属学的現象についての解説を加えて,熱処理技術を中心に据えた基礎講座プログラムで構成されており、新入社員教育などをはじめとした企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。
申込締切は11月16日で、以下のURLから申し込みができる。対面参加の定員は30名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56,000円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は10000円(税込)。
https://forms.office.com/r/LH2YUCsFpJ
内容は以下のとおり。
11月28日
・9:55~10:00「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会
・10:00~11:30「鋼の焼入性と合金元素」梅澤 修氏(横浜国立大学)…鋼の等温(恒温)変態線図および連続冷却変態線図、焼入性について概説の上、鋼の焼入性に及ぼす炭素量および合金元素の影響、焼入・焼戻しによる強化との組織学的関係について述べる。
・12:30~14:00「拡散」中田伸生氏(東京工業大学)…熱処理、表面処理において拡散は重要な現象である。本講義では、金属を対象とした物質の拡散について概説する。特に気/固界面や相変態を含む複相間での拡散を理解するため、化学ポテンシャル勾配による拡散を理解することを目的とする。
・14:10~15:40「残留オーステナイト」土山聡宏氏(九州大学)…焼入れした鋼中に生成する残留オーステナイトについて、その生成機構や生成量に及ぼす鋼組成と熱処理条件の影響について述べる。また、残留オーステナイトの有効利用を目的とした最近の研究についても紹介する。
・15:50~17:20「鉄鋼材料の高強度化と変形・破壊の基礎」田中將己氏(九州大学)…本講義では、材料の破壊現象について、塑性変形をほとんど伴わない脆性破壊から塑性変形を伴う延性破壊について、その特徴を材料学的な見地に立って解説する。特に塑性変形(転位運動)挙動の温度依存性に着目する。
11月29日
・10:00~11:30「金属の高温酸化」上田光敏氏(東京工業大学)…本講義では、金属の高温酸化現象を概観するとともに、酸化現象を理解する上で重要となる平衡論(金属酸化物の化学的安定性)と速度論(酸化皮膜の成長とイオンの拡散)について概説する。
・12:30~14:00「表面硬化熱処理の基礎」奥宮正洋氏(豊田工業大学)…機械構造用部品に用いられる鋼を加熱してオーステナイト組織とし、炭素または窒素を侵入させた後に焼入れして機械的性質を向上させる表面硬化熱処理に関する硬化メカニズム、得られる組織、雰囲気管理方法等について基礎的な解説を行う。
・14:10~15:40「鉄鋼材料の窒化・浸窒処理における組織制御の考え方」宮本吾郎氏(東北大学)…窒化処理や浸窒焼入れ処理によって適切な表面特性を得るためには、表層組織の制御が欠かせない。本講義では、組織制御に必要となる状態図・熱力学や拡散、化合物層、拡散層生成挙動と表面硬化の関係について概説する。
・15:50~17:20「高周波熱処理」井戸原 修氏(高周波熱錬)…高周波熱処理は急速短時間加熱、表面加熱、部分加熱を特徴とし、自動車部品など機械構造用部品の熱処理の熱処理方法として幅広く用いられている。本講義では、この高周波熱処理技術の基礎と特徴、応用について解説する。