日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催
日本熱処理技術協会は11月13日〜16日、横浜市のパシフィコ横浜 会議センターで「第28回熱処理国際会議(IFHTSE2023)」(実行委員長:豊田工業大学・奥宮正洋氏)」を開催した。
IFHTSE2023にはヨーロッパやアメリカ、アジア等から多くの参加者があり、以下のようなトピックスで一般講演やポスターセッションが行われた。
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理技術
・表面硬化技術
・焼入れ技術
・積層造形技術における熱処理および熱化学処理
・表面被覆技術
・ロウ付け
・熱処理および表面技術の金属物理
・熱処理および表面処理部品の試験・評価法
・熱処理および表面処理のモデリング・シミュレーション
・部品の残留応力と変形
・工業炉および表面処理炉
・人工知能によるプロセス制御と熱処理および表面処理の信頼性
・省エネルギーとCO2排出削減
・熱処理および表面処理の環境対策
・ショットピーニング
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理・加工とそのメタラジー・特性
Plenary Lectureでは、香港の香港城市大学のLu Jian氏が「Recent development of Surface Modification: from Nanostructure to Supra-Nanostructure」と題し結晶粒微細化に関して、デンマークTechnical University of DenmarkのMarcel Somers氏が「Nitriding and nitrocarburizing; an interwoven braid of science and innovation」と題し窒化・表面硬化熱処理に関して、それぞれ講演を行った。また、Keynote Lectureでは、ハンガリーのObuda UniversityのImre Felde氏が「Biomimetic methods and AI technics assisting Heat Treatment processes」と題し熱処理シミュレーションに関して、オーストラリアのAW BellのRoger Lumley氏が「A study on the homogeneity of plastic deformation and its importance to tensile ductility in Al-Si-Cu-Mg (C355) investment castings」と題しC355インベストメント鋳造における塑性変形の均一性と引張靭性について、イタリアのUniversity of TrenoのMassimo Pellizzari氏が「Heat Treatment for Additive Manufacturing」と題し積層造形における熱処理に関して、九州大学の土山聡宏氏が「Microstructure control of a medium manganese steel by combined interrupted quenching and intercritical annealing」と題し合金設計と組織制御に関して、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏が「Quenching and Distortion」と題し焼入れプロセスにおける歪み形成に関して、横浜国立大学の高橋宏治氏が「Effects of laser peening on the very high cycle fatigue strength of additively manufactured maraging steel」と題し3D積層造形した金属材料のレーザーピーニングによる疲労強度向上に関して、それぞれ講演を行った。
また、各地域の熱処理の特色や現状の課題、今後の展開についての情報提供および議論を行う「熱処理サミット」が開催された。アメリカIpsen InternationalのJanusz Kowalewski氏がアメリカの熱処理事情について、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏がヨーロッパの熱処理事業について、DOWAサーモテックの加賀誠士氏がアジア地域の熱処理市場について、日本金属熱処理工業会副会長でメタルヒート社長の原敏城氏が日本の金属熱処理業界動向について、日本熱処理技術協会副会長で日本パーカライジング フェローの渡邊陽一氏が日本の熱処理技術の最近の研究開発動向について、それぞれ発表した。
今回はさらに、24社の企業による展示ブースが併設され、国内外の熱処理・表面処理・分析装置・測定装置などのさまざまな企業の展示が行われたほか、出展企業によるランチョンセミナーも行われた。
IFHTSE2023では、日本熱処理技術協会 60周年記念式典を併せたウェルカムパーティーや、バンケット、オプショナルツアーなどさまざまなイベントが企画された。15日に開催されたバンケットでは、アルコ弦楽四重奏団による演奏や、横浜芸妓組合による演奏と踊り、アルコ弦楽四重奏団と横浜芸妓組合のコラボレーションによるステージなどが披露された。
バンケットではまた、ポスターセッションにおける「優秀ポスター賞(Best Poster Award)」の受賞者が、以下のとおり発表された。
P20
「Interfacial Microstructure and Fracture Behavior of Fe/Ni Interface by Solid-state Compressive Bonding」
Sien Liu, Shoichi Nambu,
Department of Materials Engineering, The University of Tokyo
P9
「Corrosion Behavior of 316L Stainless Steel Arc-coated ZrTiAgN Multilayer Film in Media Containing Chloride」
Chun-Yin Lin, Mu-Jou Ho, Cheng-Hsun Hsu
Department of Mechanical and Materials Engineering, Tatung University
P33
「Effect of Nitriding Conditions on 304 Stainless-steel Plasma Nitrided with Ni Screen」
Masaki Kuribayashi, Akio Nishimoto
Department of Chemistry and Materials Engineering, Kansai University
P42
「Short-time Induction Treatment to Improve Fatigue Strength and Wear Resistance of Ti-6Al-4V Alloy Formed by Laser Powder Bed Fusion 」
Koki Matsumoto 1 , Li He 1 , Shogo Takesue 1 , Yoshitaka Misaka 2 , Tatsuro Morita 1
1 Kyoto Institute of Technology,
2 Neturen Co., Ltd