メインコンテンツに移動
SEMICON Japan 2024

 

DIC、めっき可能なPPSコンパウンドを開発

 DIC( https://www.dic-global.com/ja )は、塚田理研工業および吉野電化工業と共同で、めっき可能なPPSコンパウンド「DIC.PPS MP-6060 BLACK」(以下「MP-6060」)を開発した。本開発品とめっき技術の組み合わせにより、特殊なエッチング工程を必要とせず、既存のプラスチックめっきラインでスーパーエンプラPPSの金属めっき処理が量産可能となる。

 PPSに金属めっきをすることにより、耐久性が必要とされる電子機器筐体やコネクタなどの金属部品の樹脂化と電磁波シールドの両立が可能となる。特に、電動化や自動運転化が進む車載部品では、ECU(電気制御ユニット)やADAS(先進運転支援システム)の筐体などの樹脂化が軽量化につながり、燃費効率と航続可能距離を向上させることで、性能とサステナビリティの両面での貢献が見込まれる。今後、電気自動車(EV)やPCなど耐久性が必要となる電子機器分野を中心に需要を取り込むことで、2030年の売上高30億円を目指す。

 PPSはスーパーエンプラとしての耐久性や軽量化、加工性などの長所から、車載電子機器などに使用されてきた。金属等の電気導体では電磁波の遮蔽効果が得られるが、プラスチックは電磁波を透過するため、筐体として電磁波を防ぐにはプラスチック表面に金属皮膜を形成するなどの電磁波シールド技術の使用が必要となる。しかし、PPSはその高い耐薬品性から一般的なプラスチックめっきで用いられるエッチング溶液が前処理に使用できず、金属膜との密着が難しいとの課題があった。これまで、めっきの密着性を付与するためにブラスト処理、プラズマ処理、フッ酸処理、濃硝酸処理などの特殊なエッチング工程が必要だったという。

 今回、同社が開発したMP-6060は、クロム酸などの汎用溶液でのケミカルエッチングが可能で、既存のプラスチックめっき設備で金属めっきが可能となった。

MP-6060のめっき工程
MP-6060のめっき工程
無電解・電解めっきの比較
無電解・電解めっきの比較