ASTEC/SURTECH/nano tech2024などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に
「ASTEC2024 第19回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2024 表面技術要素展」、「nano tech2024国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など15の展示会が、1月31日~2月2日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され42034名が来場、表面改質と表面試験・評価関連でも多数の展示がなされた。
Rtec-Instruments( https://rtec-instruments.com/?lang=ja )は、独自の高速スキャンおよび解析ソフトウェアによりコストパフォーマンスに優れた白色干渉計モデルの3Dプロファイラー「UP-2000」を紹介した。日本限定キャンペーンとして、本年度(2024年3月末日)受注受け付け分に限り、定価950万円(税別)で販売している。トライボロジー分野において表面形状測定は重要な評価項目の一つのため、同社は多様な摩擦試験に対応できる多機能型摩擦試験機を開発する一方で、3Dプロファイラーの開発にも注力している。UP-2000は、柔軟な垂直範囲、クロスローラーの高精度ステージ、剛性の高い設計、追跡可能な値により、あらゆるサンプルの粗さ、ステップ高さ、膜厚、トポグラフィー分析などが可能となっている。
大塚電子( https://www.otsukael.jp )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報すべて(光波動場)を独自の波面センサで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得、取得した三次元情報を後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。
奥野製薬工業( https://www.okuno.co.jp )は、有機フッ素化合物(PFAS)対策の技術として、フッ素系界面活性剤フリーの無電解ニッケル/PTFE複合めっき液「トップニコジットTFE-SL」をパネルで紹介した。最大25vol%のPTFEが共析可能で、従来のフッ素含有品と同等の摺動性や、300℃・1時間の熱処理後でも保持される高い撥水性(めっき皮膜上の水滴の接触角111°)、離型性に優れた皮膜が得られる。また、優れた浴安定性を実現、14日間放置後のめっき液においてもPTFEの凝集が見られないとの結果を示した。
新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、塗膜業界やフィルム業界の各種規格試験や業界標準試験を簡単に行える引掻試験機「トライボギアTYPE:38」を展示した。同試験機はフィルム業界用の「TYPE:38F」と塗膜業界用の「TYPE:38P」を用意。TYPE:38Fでは、JIS K 5600-5-4:1999(塗料引っかき硬度(鉛筆法))やISO 12137:2011(塗料とワニス-耐傷性の測定)、スチールウール試験(業界標準試験)ガーゼ試験(業界標準試験)に対応。TYPE:38Pでは、JIS K 7317:2022(プラスチック-機能性フィルムの引掻き硬さの求め方)、スチールウール試験(業界標準試験)、ガーゼ試験(業界標準試験)、JIS K 6902:2007B(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)、JIS S 6050(プラスチック字消し)に対応している。試験治具もワンパッケージとなっているため、購入後すぐに試験を行える。
TPR( https://www.tpr.co.jp/ )は、自動車のピストンリングの製造で豊富な実績をもつDLCコーティングの受託加工をアピール、サンプルの展示を行った。具体的には樹脂製品に対して高密着で除電性(静電気拡散性)を付与できるコーティングとして紹介。低温成膜により耐熱性が低い樹脂製品への成膜が可能として、ポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に実績があるとした。さらに、水回りの水垢対策やガラスの水汚れ対策といった防汚性コーティングとしても紹介。化学的安定性の高いDLCコーティングにより防汚性が付与できることや、金属と樹脂製品どちらに対しても高密着性と高耐摩耗性を付与できることを訴求した。
ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、機能を絞ることで低価格化を実現した開発用小型HiPIMS成膜装置「ICF330-SP」の展示を行った。同装置は大電力マグネトロンスパッタリング(HiPIMS)でのコーティングに機能を特化した小型の成膜装置。機能特化によりコストを抑え低価格で提供できるようにした。また、同社の受託加工で主力のDLCコーティング「生体適合性ICFコーティング」を紹介。同社独自の技術により適切な膜質制御を行い硬さと内部応力の制御および生体適合性の制御を行うことが可能になった。具体的にはISO 10993-4(血液適合性試験)やISO 10993-5(細胞毒性試験)に対応している。
パーカー熱処理工業( https://pnk.co.jp )は、潤滑剤と基材の摩擦摩耗試験におけるデファクト・スタンダード機である振動摩擦摩耗試験機「SRV®5」を展示した。オシレーションとローテーション(オプション)を同一プラットフォームで選択式に試験できるほか、この2種類の動作を組み合わせた現実に則したリグ試験により、局所的な可動部の摩擦摩耗評価にも対応可能。また、SRVの入門機で卓上タイプの摩擦摩耗試験のEasy Tribo Screener(ETS)を展示。最大300Nの荷重に対応し、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材等の分野における測定ニーズを満たしているほか、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適。
パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.com/jp )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。
ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp )は、スループット2倍の高速測定モード、200mm×300mmの広い試験領域を実現、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウエハのマルチ測定分析などが可能なナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」を展示した。新しいPerformech IIIコントローラ、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど測定・解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックの使用でほぼすべてのサンプルを取り付けることができ、より広い試験領域での測定が可能。
レスカ( https://www.rhesca.co.jp )は、軟質素材/ソフトマター表面の摩擦・粘弾性を含む総合的な挙動を評価する試験装置「レオトライボテスタRTT1000」を披露した。特長は、①メゾスコピック領域のレオロジー/トライボロジーの評価に最適:球状接触子の採用によりμmオーダーからmmオーダーまでの多様な接触領域をカバー、②摩擦・粘弾性を含んだ抵抗力を高感度に測定可能:同社が長年培ってきた電磁平衡式電子天秤技術と新開発の超低歪みボイスコイル式往復摺動ステージにより実現、③摺動波形に三角波が選択可能:往復運動の速度を一定にできるため解析の幅が広がる、④摺動波形に正弦波が選択可能:平面接触子と静止条件の選択により動的粘弾性解析が可能、など。
ワカヤマ( https://ninjacoat.jp )は、機能性塗料戦隊「ニンジャコート」を披露。一般的な黒色塗料と比べて光の吸収率が圧倒的に高く、目に見える光をほとんどすべて吸収してしまう「漆黒のブラック」、200℃を超える高温に耐え熱を遮る「情熱のレッド」、水を弾いたり馴染ませて製品の美観を保持する「水流のブルー」、電磁波や静電気から機器を保護する「電光のイエロー」、商品をカラフルに彩りブランディングに寄与する「魅惑のピンク」、木材や樹脂に素材以上の硬さを与える「防御のホワイト」について、デモンストレーションをまじえて紹介した。