JASIS2024開催、表面試験・評価・分析機器などが展示
日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2024」を開催した。展示会では、407社・機関、1214小間(昨年354社・機関、1096小間)の出展と「新技術説明会」、「トピックスセミナー」などの講演が多数催された。リアル展示会への来場者は21918名(昨年16115名)だった。表面試験・評価機器関連では以下のような展示があった。
エビデント(https://www.olympus-ims.com/ja/)は、限界見本をそのまま覚える拡大観察・欠陥判定外観AIによって、欠陥の自動検出・自動分類が可能なデジタルマイクロスコープ「DSX1000+NuLMiL」を紹介した。不良部分を塗りつぶすだけで直感的・効率的に欠陥を学習、学習結果に基づき取得した画像から不良箇所を自動で判定。NG限度見本との類似度設定でOK/NGを調整、R&Dから量産まで適用できる。また、微細観察・粗さ測定において業界最高峰レベルの測定性能を実現するとともに、「実験トータルアシスト」によって実験計画表の作成からデータ取得、解析、分析、レポート作成までの作業を効率化できる3D測定レーザー顕微鏡「OLS5100」を展示した。表面粗さ測定に最適なレンズ選択をアシストする「スマートレンズアドバイザー」で、測定結果の信頼性を向上できる。測定結果の異常値をリアルタイムで可視化する「ヒートマップ表示」も搭載。
大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報全て(光波動場)を独自の波面センサーで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象(以後、対象)から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサーに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得して、取得した三次元情報を、後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。また、防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。
協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、主力の接触角計を紹介したほか、自動摩擦摩耗解析装置「TSf-503」を展示した。同装置は天秤構造を採用したことで不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した。標準繰返し測定は最大12回まで往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。また同装置は、往復測定か往路のみの測定かを選択でき、往路測定の場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。さらに、4種類の荷重(100g~1000g)で静・動摩擦係数を測定し、荷重による影響を比較することもできる。
新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、比較的安価で幅広い摩擦摩耗試験に対応した「トライボギア TYPE:14FW」を紹介。同品はテーブル速度、移動距離、往復回数を設定することができるため、さまざまな条件下で試験が可能となる。また、同品はアタッチメントを様々に変更できることから、摩擦摩耗試験だけでなく、簡単な引っ張り試験やスクラッチ試験などに対応している。オプションのトライボソフトを使用すればデータの管理、解析を簡単に行うことができる。さらに、同社は摩擦摩耗試験機の専門メーカーとして70年以上の実績を強みに摩擦摩耗試験の受託試験を行っている。様々なシーンに適合した試験機を取り揃えているとともに摩擦摩耗に特化した多様なノウハウにより精確な受託試験が行えることを訴求した。
THK(https://www.thk.com/jp/ja/)は、分析機器など高精度の位置決めが要求されるアプリケーション向けに開発した、8条列を採用しながらもISO 規格に準拠した標準寸法で、世界標準のLMガイド「SHS」と寸法互換が可能な超低ウェービングのボールリテーナ入りLMガイド「SPHシリーズ」を披露した。超低ウェービング・高剛性ボールリテーナ入りLMガイドSPR/SPSで採用した小径ボールをよりサイズダウンして有効ボール数を増やし、剛性とのバランスを取りつつ、SPR/SPSとほぼ同等のnm単位の超低ウェービング性能を実現している。また、分析装置・実験装置への試料のハンドリングを行い24時間の無人での分析や実験を実施できる、ヒト型双腕ロボット「NEXTAGE Fillie」やロボットハンド「ならいハンドTNH」、「コンビネーションモジュール」を用いた自動化システムを提案した。
パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp)は、200mmウェハーを切り出さずにそのまま評価できる研究用原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX200」を初披露した。①低ノイズフロアと低い熱ドリフトによる再現性の高い測定、②スキャンレート50Hzでも鮮明な画像が得られる高速イメージング性能、③11 µmと小口径のレーザービームスポットのためカンチレバー長が非常に短いプローブを利用でき、共振周波数2MHzを用いた高速測定などさまざまな計測が可能、④より広いサイズをとらえつつ線幅0.87μmの高解像度が可能、⑤ヘッド衝突の保護機能・環境センサー機能を有する新世代AFMコントローラー、⑥200mmウェハーからクーポンサイズの試料までをカバー、⑦プローブタイプの自動認識、⑧プローブの自動交換、⑨カンチレバー上の自動レーザービームアライメント、⑩200mmウェハー全体像観察のためのマクロ光学系、など多くの機能を搭載。
ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp )は、スループット2倍の高速測定モード、200mm×300mmの広い試験領域を実現、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウェハーのマルチ測定分析などが可能なナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」を展示した。新しいPerformech IIIコントローラー、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど測定・解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックの使用でほぼすべてのサンプルを取り付けることができ、より広い試験領域での測定が可能。
ヤマト科学は、分光技術を用いた最新の計測・分析技術として、誰でも簡単・迅速・高精度に非破壊で計測できるスマート膜厚計「SM-100P/SM-100S」を紹介した。同品は、分光器の小型化やバッテリー駆動により本体が1.1 kgと軽く、ネックストラップ付きで装置の落下を防止しつつ容易に持ち運びができる。また、シンプルで直感的なインターフェースの採用によって専門知識が不要な簡単測定(プローブをサンプルに当てるだけ)に加え、反射分光法の採用によって最薄0.1 μmまで検量線不要で測定が可能となる。測定対象の膜が透明であれば、プラスチック・ガラスなど基材を選ばずに測定が可能。単層膜専用「SM-100S」と、最大3層までの多層膜を測定可能な「SM-100P」をラインアップしている。