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トライボコーティング技術研究会、令和6年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は10月3日、東京都板橋区の板橋区立文化会館で「令和6年度 第2回研究会(第153回研究会)」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。今回は、「第52回:マイクロファブリケーション研究の最新動向」、「第12回インテリジェント/AIものづくりシンポジウム」との同時開催で、また、「第11回板橋オプトフォーラム(IOF)」との同時開催となる。

トライボコーティング技術研究会 第153回研究会 開催のようす mst 表面改質
開催のようす

 

 当日は、大森氏による趣旨説明の後、以下のタイトルで講演がなされた。

第一部:特別セッション
「微細加工関連の最新研究動向―MIRAI会議にみるマイクロ・トライボファブリケーション事例」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏
「液中超短パルスレーザ照射によるナノ周期構造創製と化学的機能の同時付与」三条市立大学/理化学研究所大森素形材工学研究室 江面篤志氏


【基調講演】
「人間拡張技術とインターバース・サービス―仮想空間で価値を拡張し、実空間に還流する―」産業技術総合研究所 持丸正明氏


 【トライボセッション】では以下のような内容で講演がなされた。

「ガラスの機能性テクスチャリング加工のための延性モード微粒子ピーニング」 東京都市大学/理化学研究所大森素形材工学研究室 亀山雄高氏…斜投射微粒子ピーニングによる延性モード加工によってガラスを割らずに微小変形させて微細な凹凸を形成する技術を紹介。テクスチャリングによる粉体付着防止効果によって、太陽光パネルカバーガラスに処理することで、パネル表面への汚れ付着による発電効率低下を防止できる可能性を示唆した。加工条件を工夫することで、太陽光パネルの透過率90%(無加工面と同等)を維持しつつテクスチャリングが可能とした。

トライボコーティング技術研究会 第153回研究会 講演する亀山氏 mst 表面改質
講演する亀山氏

 

 また、【マイクロセッション】では以下のような内容で講演がなされた。

「ELID 研削によるチタンの周期構造の創成と表面機能について」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏…インプラントの確実な固定には、その表面形状が重要となるが、ケージについてはその外形には楔型の形状を付与することでずれ防止を狙う一方、その微視的な表面に梨地状の凹凸を残すことで、骨芽細胞誘導による骨癒合に伴うアンカリング効果を狙っており、マクロな形状とミクロな形状の組み合わせがポイントとなる。そこでELID研削法において、比較的粗い粒度の砥石を用いることで、インプラントに適したマクロな形状による骨との物理的固定と、ミクロな形状による細胞レベルでの親和性の両立という新しいアプローチに取り組んだ研究事例を紹介した。

トライボコーティング技術研究会 第153回研究会 講演する大森氏 mst 表面改質
講演する大森氏

 

 当日はまた、光学・精密機器関連の企業展示と大学研究室によるポスター発表が行われ、講演終了後の「第6回IOF Award企業展示・大学研究室ポスター発表奨励賞表彰式」では企業展示3件とポスター発表2件が表彰され、トライボコーティング関連では、三条市立大学 アドバンスド加工研究室(主宰:江面篤志氏)が選ばれた。超短パルスレーザを用いて形成されるLIPSS(Laser Induced Periodic Surface Structure)と呼ばれるナノ周期構造の産業利用に向けた研究として、金属箔や超硬、チタン合金の高付加価値化を目指した研究などが評価された。

トライボコーティング技術研究会 第153回研究会 第6回IOF Award 大学研究室ポスター発表奨励賞表彰式のようす:右から一番目が、三条市立大学・江面氏 mst 表面改質
第6回IOF Award 大学研究室ポスター発表奨励賞表彰式のようす
一番右が江面氏