大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp/ )は、高密着性とエッチング性に優れた難密着基板用ターゲット材を開発した。
同品を用いてスパッタリング法で成膜した膜は、難密着基板であるポリイミド樹脂に対して高い密着性を示す。また、この密着膜は配線の形成がしやすいため、5Gアンテナや電子デバイスの量産工程の早期立ち上げに貢献できる。密着性と配線形成のしやすさを両立したターゲット材を新たにラインナップすることで、今後の需要拡大が見込まれる5Gアンテナやインターポーザなどに使われる微細配線基板の分野において、難密着基板用ターゲット材の受注拡大を目指し、高度化する電子デバイスの普及拡大に貢献していく。
同品により成膜した膜は、①高密着性:難密着基板であるポリイミド樹脂に対して高密着(図1)②易エッチング性:銅エッチングに用いる一般的な塩化第二鉄でエッチングが可能なため、3層 密着層・シード銅層※6・めっき※7銅層の一括エッチングが可能(図2 、図3)
これらの特長により、5Gアンテナやインターポーザの製造工程を一部省略でき、量産工程の早期立ち上げに貢献できます(図4)、などの特長がある。
近年、AIやビッグデータなどの情報処理に関する多くのシステムや、自動運転、IoT、5Gなどの新しい技術の普及により、膨大なデータを迅速に処理することが求められている。この要求に応えるため、高性能かつ低消費電力の電子デバイスの需要が高まっている。5Gのような高周波の伝送においては、信号の劣化を防ぐために、伝送経路を短縮させた微細配線が必要になる。さらに、伝送ロスを減らすために、ポリイミド樹脂などの低誘電基板の適用が進んでいるが(図5)、配線材料である銅は、基板との密着性が低く、断線のリスクが高いため密着膜が必要とされている。これまで、密着膜には、一般的にチタン膜が使用されていたが、チタン膜は、銅と同じエッチング液で配線が形成できないため、2回のエッチング工程が必要になる。同品による膜は、難密着基板に対して密着性が高く、かつ一般的なエッチング液で銅配線と一括エッチングが可能だという。