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SEMICON Japan 2024

 

神戸製鋼、カーボン系材料をコーティングした燃料電池用セパレータ

カーボン被覆処理チタン材外観カーボン被覆処理チタン材外観 神戸製鋼所( http://www.kobelco.co.jp )は、カーボン系材料を表面コーティングした、燃料電池用チタン製セパレータ素材を開発した。元来、耐食性に優れ、軽く強度の高いチタン箔の表面に、安価なカーボン系材料をコーティングすることで、高い導電性を付加した。

 従来使用されている金属系セパレータ素材のステンレスと比較すると、約1/2の接触抵抗注を実現し、燃料電池の水素イオン伝導膜を劣化させると言われている鉄イオンの溶出もないことから、燃料電池の長寿命化が期待される。加えて、燃料電池自体の小型化や軽量化にも寄与する。

 燃料電池は、水素と酸素の化学反応により水を生成する過程で電気を作り出す装置で、大量の電気を発生させるために、水素と酸素を反応させるセルと呼ばれるユニットを何層も積み重ねて形作られている。各セルを流れるガス(水素または酸素)の混合を遮断し、セルで発電した電気を集めて流すために、セルの間に挟み込まれるのがセパレータと呼ばれる板状の部品で、主にカーボン系素材と金属系素材が使用されている。

 近年では、ガス遮断性やコスト、軽量化の観点から、表面処理を施したステンレスなどの金属製が注目されているという。セパレータには、ガス遮断性や、発生した電気を効率良く流すための高導電性に加えて、ガスを流すための流路溝を形成するための成形性や、燃料電池を小型・軽量にするための薄型・軽量化が求められている。

 従来のステンレスやチタンを使用したセパレータは、元来の特性として、ガス遮断性、耐食性、成型性や高強度性を有する反面、腐食の進行を防ぐために自ら形成する酸化保護皮膜(絶縁膜)が、導電性を阻害していた。

表面処理チタンの接触抵抗表面処理チタンの接触抵抗 今回開発したチタン製セパレータは、高耐食のチタン表面に安価なカーボン系材料をコーティングすることで、3~4mΩ・cm2(ミリオーム・平方センチメートル)と低い接触抵抗を実現し、長期耐久性と高導電性を両立することに成功した。また、軽く高強度のチタンを使用することで、燃料電池の小型・軽量化にも寄与する。

燃料電池概略図燃料電池概略図