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トライボコーティング技術研究会、令和7年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は8月28日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで「令和7年度 第2回研究会(第157回研究会)」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。今回は、「第53回:マイクロファブリケーション研究の最新動向」、「第23回オンデマンド・マイクロ合同シンポジウム」との同時開催で、また、「第12回板橋オプトフォーラム(IOF)」との同時開催となる。

開催のようす
開催のようす

 当日は、大森氏による趣旨説明の後、以下のタイトルで講演がなされた。

【特別セッション】
「微細加工関連の最新研究について」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏
「町工場のスーパー職人のものづくり人生―天体望遠鏡と超精密測定器の製作ドキュメント―」MATE(Metrology and Astronomical Technology Engineering)三浦勝弘氏

【基調講演】
「灯台フレネルレンズの歴史と製作、技術について―平成までの半世紀、海上保安庁が製作していた灯台フレネルレンズの全貌を紹介―」海上保安庁 第九管区海上保安本部伏木海上保安部 星野宏和氏

 【トライボセッション】では以下のような内容で講演がなされた。
「磁気混合流体(MCF)スラリーによる微細形状の精密仕上げ研磨」秋田県立大学/理化学研究所 野村光由氏…磁性流体と鉄粉、砥粒、α-セルロースからなるMCFスラリーを用いて行う磁場を利用した研磨について発表した。MCFスラリーは研磨の際にワークの形状に合わせて変化することができるため、複雑な形状に有効なスラリーであり研磨法であると解説。具体的事例として集光型フレネルレンズの金型において微細な形状を維持しながら表面を研磨した研究やMCFスラリーの除去メカニズム、微細直線型V溝の鏡面仕上げ、微細円環型V溝の鏡面仕上げ、微細穴内壁研磨などについて報告した。最後に、MCFスラリーはワークに合わせて構成成分の構成比を変えることでさまざまなことに対応が可能だとした。

講演する野村氏
講演する野村氏

 また、【マイクロセッション】では以下のような内容で講演がなされた。

「周期的透明ディンプルのELID成形研削方法の検討とその試み」理化学研究所大森素形材工学研究室 大森 整氏…ガラス基板上に周期的シリンドリカル形状を形成するべく数種のパターンを検討して加工を行った先行研究について紹介。発表では、ELID平面研削実験においては各粒度(♯600、♯1200、♯4000)のダイヤモンド砥石によりガラス基板上のELID平面研削を行い、各加工面性状の把握を行った。♯600による研削面は目視で梨地面であり、大きな窪みがあることから、脆性モードが主として表れていることが分かった。♯1200は♯600の半分以下の粗さが得られており、粗さパターンには部分的に大きめの谷部も見られるが平坦面が形成されているとした。♯4000は研削痕に若干の谷部はできるものの、♯1200の半分以下の粗さが得られている。加えて、周期的ディンプル形状のELID成形研削についても報告を行った。

講演する大森氏
講演する大森氏