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光触媒工業会、創立20周年記念祝賀会を開催

 光触媒工業会(PIAJ)は6月29日、東京都港区の品川プリンスホテルメインタワーで、「創立20周年記念祝賀会」を開催した。

 冒頭、挨拶に立った吉本昇司会長(TOTO)は、「次の10年、20年に向けて、本会を発展させ、光触媒の技術をさらに、暮らしをやさしく包む快適空間を作り出す次世代技術の柱へと進めいきたい。当工業会は2006年、日本発の光触媒の技術を社会に喧伝・普及させる、そして光触媒の市場を創出する目的で創立された。活動の核は常に消費者視点であることで、安全を守るために信頼の証であるPISJマークを認証制度として確立、試験方法に基づいた客観的な性能評価を行ってきた。この品質第一という姿勢によって、空気浄化、セルフクリーニング、抗菌・抗ウイルスという光触媒の確かな価値を提供して、その市場は住宅から公共用途に至るまで、暮らしの安全を支える社会インフラにまで成長したと考えている。会員企業各位の尽力の賜物と考えている。次の20年に向けたキーワードをいろいろと考えているが、工業会のステージを上げるべく、「世界へ」ということを念頭に置いて、次の10年に向けて活動を進めていく。これからのあるべき姿の第一は、日本の快適空間を出発点にして、それを支える次世代の技術が持続可能な未来の創造に貢献していくことが挙げられる。二つ目は、日本が発見した光触媒技術を、規格の面を含めて工業会主導で広めていくことで、すでに工業会ではアジアの国々と相互認証に向けたMRA協定(相互承認協定)を締結し動き始めている。今後、こうした活動の強化を視野に入れて、さらにパートナーシップを強めていきたい。光触媒を選ぶための信頼性の高い共通の物差しとして、安全性に関する規格作りも工業会の大きな使命と考えている。常に消費者視線で、消費者の信頼に応えることを忘れることなく、関連団体各位とこれまで以上に熱意をもって、コミュニケーションを図りつつ、光触媒という素晴らしい技術の価値を社会に伝えていきたい。これからも光触媒は、“日本発の技術で、よりよい未来を創る(日本発の光触媒による「美観維持」、「環境浄化」、「清潔な空間」の提供により、美しく安心な日本の街づくりに貢献していく)”のスローガンのとおり、今後も持続可能で美しい地球の未来に貢献していきたい。関係各位のご尽力で工業会が発展し、工業会の発展が社会貢献につながる。次の10年、20年に向けて工業会活動を進めるべく、関係各位の引き続きのご協力をお願いしたい」と呼びかけた。

光触媒工業会 創立20周年記念祝賀会 挨拶する吉本会長 mst 表面改質
挨拶する吉本会長

 

 また来賓の挨拶に立った経済産業省 製造産業局 素材産業課 革新素材室の山田純市氏が「20年間の光触媒工業会の活動が、業界の健全な発展のみならず、我が国経済や社会の発展にも大きく貢献したことに感謝したい。不確実な国際情勢の中、高市政権では危機管理投資、成長投資を柱に、強い経済の実現を目指している。成長戦略ではAI、半導体、エネルギー、GXなど17の戦略分野を中心に大胆な設備投資や研究開発の促進など、官民の積極的な投資を引き出していく。皆様方と一緒に強靭で力強い経済の実現に取り組んでいきたい。光触媒製品は建物の内外装、土木資材、日用品の製造など、幅広い分野で活用され、我々の生活を支える重要な技術であり、その幅広い役割ゆえに昨今の国際情勢が業界に与える影響は決して小さくないと認識している。この20年間で社会は大きく変化し、工業会としてもさまざまな局面に直面してきたことと思う。そうした中でも工業会会員企業が結束して光触媒技術の普及としてPIAJマークによる業界独自の製品認証、抗菌・抗ウイルス性試験方法の標準規格、安全性評価への対応などを通して課題解決や価値創出に取り組んできたことに敬意を表したい。経産省としてもイノベーションの創出や国際標準化、市場形成に向けた取り組みなどを通じて、工業会と連携しながら光触媒業界のために尽力していきたい」と述べた。

光触媒工業会 創立20周年記念祝賀会 挨拶する山田氏 mst 表面改質
挨拶する山田氏

 

 光触媒技術の発見者である藤嶋 昭氏(東京理科大学栄誉教授、東京大学特別栄誉教授が来賓の挨拶に立ち、「1966年に私が酸化チタンの単結晶を使った光触媒技術によって水の分解を実現して、ちょうど今年で60年を迎える。橋本和仁先生と二人で協力しながら、例えばTOTOと一緒に製品化を進めるなど、光触媒技術の開発と普及に向けた取り組みに腐心してきた。特に、光触媒の超親水効果を見つけて特許を確立する時などには苦労したが、多くの方々に光触媒を利用していただき、特にセルフクリーニングとして利用していただく基盤を作った。光触媒の試験方法の標準化、JIS化、さらにはISO化を進め、その後、当工業会が設立され、ますます光触媒製品がJIS、ISOに即してきちんと作られるようになり、世の中に役立つものとなっていることは、本当に喜ばしい。これからもさらにさまざまな光触媒製品が登場して、世の中に役立っていただけることを祈念している。ISO化をベースに、日本国内だけでなく世界で光触媒製品が利用されることを期待している。自分自身も今なお光触媒の研究を進めており、光触媒によって水をきれいにして、半導体洗浄用の超純水を作れる段階にきている。極めて高純度の水を光触媒で作ることができるという特許も出願し受理されている。このように光触媒はいろいろな分野でもっともっと使っていただける可能性がある。TOTOをはじめとする企業のご助力で製品化し光触媒が多くの人に役立つ技術となっていることは非常にうれしい。光触媒技術の応用拡大と普及推進に努める当工業会の一層の発展を祈念している」と述べた。

光触媒工業会 創立20周年記念祝賀会 挨拶する藤嶋氏 mst 表面改質

 

 続いて科学技術振興機構理事長で内閣官房 科学技術顧問の橋本和仁氏が、「1996年に本格的な光触媒製品として、TOTOの超親水性光触媒タイルが製品化された。遡って1990年ごろに藤嶋教授の研究室に講師として呼んでいただき、それまでの光触媒研究のほとんどが、水を分解して酸素と水素を得る光触媒の研究だったのに代わって、光触媒で汚れを落とす、抗菌性を持たせるといった研究が始まり、その流れで超純水を得る光触媒の研究も始まった。最近の新聞紙上では、光触媒と言うと水素活用のための技術と騒がれているが、実はこれは光触媒研究の始まりで、先ほど藤嶋先生がおっしゃられた、1972年にNature誌に発表された「本多・藤嶋効果」と呼ばれる酸化チタンに光を当てて水を分解する現象をさす。光触媒研究の違う道を作ったのが、1990年ごろの光触媒で汚れを落とす研究で、当工業会はほとんどがその研究を基盤にしている。1995年に科学技術基本法ができるまでの当時は、大学の人間が企業と一緒になって製品開発のための研究をするなんて許せないという雰囲気の時代だったが、それよりも前にTOTOと光触媒の抗菌研究で共同研究を始めた。藤嶋先生は現役で光触媒研究を続けている一方、私自身は10年前に光触媒の研究をリタイアして科学技術政策を見るようになったが、我々のやった光触媒研究が皆様に支えられて社会実装されていることは大変ありがたい。今後はぜひ、世界を目指した製品技術にしていただきたい。光触媒は最初から世界を目指していたが、我々の力量不足でうまくいかなかった。普通にやったら同じように失敗するだろう。その時になぜ失敗したのか、どこがうまくいかなかったのかという我々の数多くのノウハウが残っている。現在、世界が日本を求めており、ここ2、3年でその傾向が急激に強まっている。欧州、カナダ、インド、アセアンなどが日本に対して大きな期待感を抱いている。こうした中でぜひ、国際協力をしながら光触媒を広めていただきたい。私自身は科学技術政策を進める立場なので、取り組みを後押しできればと思う。当工業会が20年を迎えたことを喜ばしく思うとともに、今後の20年の工業会の活躍にも大いに期待しつつ、引き続き応援していきたい」と語った。

光触媒工業会 創立20周年記念祝賀会 挨拶する橋本氏 mst 表面改質
挨拶する橋本氏

 

 最後に、乾杯の挨拶に立った野間 賢副会長(積水ハウス)は、「藤嶋先生、橋本先生から、光触媒が大変な苦労があって発展したという話を聞いたが、当社もその苦労があって発展した光触媒に携わっていることを幸せに感じている。この祝賀会において、発展のためにご尽力されてきた皆様方にはぜひ、これまでの苦労話や、これからの20年への先を目指した会話をしていただいて、当工業会をより盛り上げていただきたい。本日はどんどんとコミュニケーションを図っていただければ幸いである。光触媒産業、ならびに光触媒工業会、関係各位のますますの発展を祈念したい」と高らかに杯を掲げた。
 

光触媒工業会 創立20周年記念祝賀会 乾杯の挨拶を行う野間氏 mst 表面改質
乾杯の挨拶を行う野間氏