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SEMICON Japan 2024

 

JASIS2012開催、表面試験・評価機器などが一堂に展示

JASIS2012のもよう 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月5日~7日、千葉市の幕張メッセ国際展示場で、「JASIS2012」を開催した。今回が「分析展/科学機器展」から名称を変えての第1回開催となり、「未来発見。-Discover the Future-」をテーマに、グリーンエネルギーや医療など新しい産業を確立するための、材料・表面改質層の開発を支える表面観察装置・分析装置や表面特性試験装置などが多数展示された。

東陽テクニカ「8500型 FE-SEM」東陽テクニカ「8500型 FE-SEM」 表面改質層の観察装置としては、細く絞った電子ビームを表面に入射し、表層の数ナノメータ(nm)深さから出る二次電子を二次電子検出器でとらえる走査電子顕微鏡(SEM)が多用されている。東陽テクニカでは、1kVの低加速電圧で10nm以下の分解能を実現するAgilent社製「8500型 FE-SEM(電界放射型電子顕微鏡)」を出展した。従来のデスクトップタイプSEMと比べ、電子ビームによる試料表面の帯電が圧倒的に尐ないシステムのため、ナノ構造を被覆して埋めてしまう可能性のある導電性コートや、面分解能を落とす原因となる高電圧測定に頼る必要なく、ガラスなどの帯電しやすい試料から、高分子や薄膜、バイオマテリアルなどの電子線ダメージを受けやすい試料に至るまで、幅広い試料の表面構造を高分解能で観察できる。

日本エフイー・アイ「Titan」 また、高分解能観察と微小領域の元素分析に用いられる透過型電子顕微鏡(TEM)では、日本エフイー・アイが走査/透過型電子顕微鏡(S/TEM)「Titan」を展示、オングストローム(Å)以下、原子レベルの観察と解析を可能にしている。たとえばカーボンナノチューブ(CNT)を機能性フィラーとして分散させることで樹脂の強化や導電性付与を施した複合材料が実用化されているが、この複合化した樹脂中に分散したCNTの分布の確認などにも利用できる。

 試料表面を微小なプローブ(探針)で走査し、試料の三次元形状や局所的物性を高倍率で観察する走査型プローブ顕微鏡(SPM)では、エスアイアイ・ナノテクノロジーがSPMと白色干渉計(非接触表面形状・粗さ測定機)を複合化させた装置を参考出品した。SPMは微小領域での観察が得意だが、広域観察やできず、観察のスループットも課題とされていた。この欠点を白色干渉計で補うことで、たとえば各種タッチパネルに使われる透明電極膜ITO膜などの表面粗さ・形状評価として、Åレベルの狭域からミリレベルの広域までの高精度の計測や、計測結果のクロスチェックなどを実現するという。

 一方、薄膜表面の機械的特性評価としては、薄膜の密着性や硬さ、摩擦摩耗特性の評価などがあるが、微小押し込み硬さ試験(ナノインデンテーション試験)では、押し込み荷重をμNオーダーで制御し圧子の押し込み深さをnmの精度で測定することで、母材の硬さに影響されずに薄膜のみの硬度測定を行う。オミクロンナノテクノロジージャパンでは、硬質薄膜からエレクトロニクス分野で採用が広がる柔らかい樹脂材料までの微小領域の機械的特性を評価する各種のナノインデンターを紹介した。

協和界面科学「全自動接触角計 DM-701」協和界面科学「全自動接触角計 DM-701」 基板に着滴した液体の画像をCCDカメラで取り入れ、液体の接触角(濡れ性)を測定するのに接触角計があるが、協和界面科学では、ウェットコーティングプロセスで川上から川下まで発生する様々な問題に対して、界面科学の視点から解決・最適化する手法を紹介、この接触角計を用いた二次電池の電極スラリー塗布プロセスの最適化について提案した。接触角計を用いて、集電体の表面改質状態がスラリー塗布に適しているか評価する。

 今回は、喫緊の取り組むべきテーマとして東日本大震災後の「放射線」の分析、計測、除染に関わる機器の展示も目立ったが、次のステップとして、上述のようにグリーンエネルギーの確立に向けた開発を支援する計測機器も多数展示された。そのほか、医療・バイオ産業や水ビジネス、航空・宇宙ビジネスなどの次世代分野が日本の産業の柱となるよう、材料・表面改質層の計測・評価技術は、強く求められてきている。