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SEMICON Japan 2024

 

神奈川県産技センター、24年度技術交流会でDLC・熱処理技術フォーラムを開催

 神奈川県産業技術センター( http://www.kanagawa-iri.go.jp/ )と神奈川県産業技術交流協会( http://www.koryu-kanagawa.com/ )は11月7日~9日の三日間、神奈川・海老名市下今泉の神奈川県産業技術センターで「平成24年度 神奈川県ものづくり技術交流会」を開催、8日に「DLCコーティング技術フォーラム」、9日には「熱処理技術フォーラム」が開催された。

 交流会は企業の新製品開発、技術力の高度化・研究開発力の向上を目指して、企業、大学、同センターをはじめとする研究・技術者が日頃の研究・技術開発成果の発表や支援事例紹介などを通して、産学公の交流と連携を促進する場として開催するもの。

 DLCコーティング技術フォーラムでは、慶應義塾大学・教授の鈴木哲也氏が「大気圧プラズマ法による非晶質炭素膜合成と神奈川オープンイノベーション」と題して講演。来年4月からスタートする経済産業省の先端技術実証・評価設備事業の「慶應―神奈川県ものづくり実証センター」に関しての報告などが行われた。同事業では、大気圧プラズマナノ加工装置や多目的プラズマ加工装置など、表面改質およびナノ加工技術に関する装置を七種を導入予定。これら装置を使用してペットボトルへの大気圧プラズマ被覆による新製品の開発や、コンクリート高架橋の保護として大気圧プラズマ法により作製したDLC-PETフィルムの活用など、様々な産業で使用できる薄膜の開発を目指すことを発表した。

 このほか、ナノテック・平塚傑工氏「大電流パルススパッタによるDLCから進化した高機能膜水素フリーICF技術とその応用」、同センター機械・材料技術部・加納眞氏「エンジンアルミニウム合金へのDLCコーティング適用」、同・渡邊敏行氏「大気圧プラズマCVD法による薄膜作製」、同・横田知宏氏「アルミニウム合金切削におけるDLCコーテッド工具とアルコールミストの効果」、同・吉田健太郎氏「オレイン酸潤滑下でのすべり摩擦におけるa-C:Hとta-Cの摩擦低減特性とトライボ化学反応の関係」の講演が行われた。

 熱処理技術フォーラムでは、パーカーS・N工業・星野薫氏が「ガス窒化処理したチタン材の特性とその応用例」と題して講演。チタンおよびチタン合金に対して常圧化の窒素雰囲気中でガス窒化処理を行い、そこで得られた窒化層の諸特性や応用例について報告。研究で使用した試料断面は、表面硬さにおいて両試料とも約1000Hvが得られ、窒化層は化合物層4~12μmと拡散層20~60μm程度からなり、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、耐かじり性、耐疲労性に優れた特性を示したことなどを解説した。また、この特性を活かして「DLCコーティングとの複合処理の商品化につなげる」とした。

 同フォーラムでは、このほか同センターの機械・材料技術部・高木眞一氏「熱処理・表面処理技術研究会の活動報告」、アイ・シイ・エス・杉山裕一氏「金型におけるハードコーティングの現状と実例」、不二WPC・熊谷正夫氏「WPC処理と硬質薄膜(DLC)形成の複合処理について」の講演が行われ、聴講者から多くの質問が出るなど活発な議論が行われた。

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