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SEMICON Japan 2024

 

CSM Instruments、日本支店のオープニング・ミーティングを開催

ミーティングのもようミーティングのもよう 機械的特性評価試験機メーカーのCSM Instrumentsは1月28日、昨年10月に横浜企業経営支援財団(IDEC)の運営する横浜市鶴見区の横浜新技術創造館(リーディングベンチャープラザ)に日本支店(代表:グウェン ボロレ氏)を開設したのを機に、同じくIDECの運営する横浜市産学共同研究センターで、「CSM Instruments日本支店オープニング・ミーティング」を開催した。当日は、CSM Instruments社から同社の取り扱う材料表面・コーティング層のトライボロジー特性評価のための試験機の概要やそれぞれの適用について、また試験機ユーザーからは、活用事例や提案が以下のとおり報告された。

ジャック・フランソワーズ氏ジャック・フランソワーズ氏「CSM Instruments Overview」CSM Instruments CEO・ジャック・フランソワーズ氏…同社の沿革からグローバルなサポート体制、また、超低荷重を付与でき正確な変位を計測できることでポリマーや生体組織などのソフトマテリアルから、低荷重を付与でき超微小変位を計測できることで窒化チタン(TiN)やダイヤモンドライクカーボン(DLC)など硬質材料までを評価できる独自技術と、試験装置の製品ラインナップ、そのアスファルトや時計など身の回りの評価事例や、ハードディスクドライブ(HDD)や半導体など先端分野の評価事例、ステントや人工心臓、人工股関節などバイオ分野の評価事例などを紹介した。さらに、1000℃までのインデンテーション試験を可能にする「高温インデンタ」、ナノ荷重領域のウルトラナノインデンタと液中カップや温度制御機能などを備えたバイオ・ステージを組み込んだ「バイオ・インデンタ」などの最新ラインナップが紹介された。

早川邦夫氏早川邦夫氏「スクラッチ試験の3次元有限要素解析」静岡大学 准教授・早川邦夫氏…鍛造工具では、摩擦や焼付きなどを防ぐ目的でTiNやDLCなどのコーティングが被覆されるが、基材と被膜の密着性の評価にスクラッチ試験が広く用いられている。しかしスクラッチ試験だけでは被膜に作用する応力の測定が難しいため、被膜‐基材界面の応力状態を知るために有限要素法解析を用いたスクラッチ試験シミュレーションを行った。また、二段階のズーミング解析により微小凹凸を有する被膜‐基材界面をモデル化し、界面応力への界面形状の影響を調べ、考察を加えた。

グウェン ボロレ氏グウェン ボロレ氏「試験機の最新アプリケーションの紹介」グウェン ボロレ氏…超薄膜やポリマー、軟質材などに最適な高いフレーム剛性による高分解能や、極めて低い熱ドリフトといった特徴を持つウルトラナノインデンタと粘弾性材料のクリープ試験や、新型ナノトライボメータ(NTR2)のコンタクトレンズの摩擦特性評価など最近の適用事例を紹介した。

ニコラ・コンテ氏ニコラ・コンテ氏「New evolutions of CSM Instruments Products」CSM Instruments Products and Applications Manager・ニコラ・コンテ氏…インデンテーション・テスタ、スクラッチテスタ、トライボメータの各ラインナップと測定領域、それぞれの機構について解説したほか、ウルトラナノインデンテーション・テスタで、1000℃までの高温環境でノイズや熱ドリフトなくナノ領域の変位の正確な計測を可能にする「NANOHOT」や、温度制御機能や濃度制御機能などを備え生体組織のインデンテーション試験を可能にする「BioChamber」などの新装置を紹介した。

加納眞氏加納眞氏「DLC膜のトライボロジー特性評価~密着・耐摩耗性および膜破壊挙動の評価~」神奈川県産業技術センター 機械・材料技術部 副部長 加納 眞氏…膜の密着性評価手法としてはロックウェル試験やスクラッチ試験が多用されているが、エンジンのように106回以上といった複数回繰り返し摺動される適用との相関性が取りにくい。そこで作業が容易で低コストで、試験時間が短く実機との相関性が高い、ボールオンディスク試験を用いた繰り返し回数102~104回の「荷重連続増加すべり試験」を提案、ta-C、a-C:H、a-Cの膜について、密着・耐摩耗性評価を実施した結果を報告、考察した。

 講演会に続いて日本支店とIDEC横浜の主な施設の見学会があり、その後、参加者による交流会が執り行われた。また、翌1月29日には、ニコラ・コンテ氏による「計装化押込み試験コース」が実施され、多数が受講した。