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SEMICON Japan 2024

 

ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の標準化事業の現状

 平成21年度より、国からの委託によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)の標準化事業が進められている。委託先はニューダイヤモンドフォーラム、ナノテック、長岡技術科学大学(平成22年度より参画)の3機関。今後、DLCのより一層の普及に向けて進められている標準化の現状を追った。

 現在進められている標準化事業では、DLC膜を基礎物性や応用特性により分類する方法を定め、どのDLC膜を利用するのが最適かを明確化する。また、生産・開発の現場で利用可能なDLC膜の簡易評価法の設計基盤を確立する。さらには、それらを基にしたJIS規格案を策定するとともに、わが国主導でISO規格制定を目指す計画だ。

 これらの実現に向けてまずは、ユーザーが選定しやすいようにDLC膜を四つか五つのグループに分類し体系化する方向で検討が進められている。また、こうしたDLC膜分類の手法を確立するには、膜の物性や機械的特性(密着性・硬度・トライボロジー特性など)を厳密に再現性よく測定することが基本になるため、生産現場で簡易に評価できる手法および装置の開発を確立する必要がある。そこで標準化作業では、各試験機メーカーやDLC装置メーカー、それらを利用するユーザーで測定方法の検討等を行っている状況だ。

 平成21年度、22年度においては、各種DLC膜の分類基準の高度化を行ったほか、DLC膜の組成や構造を簡易的に評価できる手法のコンセプトをまとめた。また、DLCに関する標準化の具体化として、摩擦摩耗評価に関するJIS規格案をまとめつつあるほか、国際規格化のために、ISO/TC107(金属および無機質被膜)への提案を想定して、関係各国(ドイツ、韓国等)の動向調査や協議を行っている。昨年11月には、このDLCの国際標準化をテーマとした国際ワークショップも開催した。この他、本年2月21日~25日に大阪で開催されるISO/TC107国際会議において、日本から標準化に向けた現状報告がなされる予定である。
(取材協力:ニューダイヤモンドフォーラム・田中章浩事務局長)
※今回の記事の全文をmst4月号に掲載。