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SEMICON Japan 2024

 

三菱樹脂、DLC成膜のPETボトル製造ラインを平塚工場に新設

ハイバリアPETボトルハイバリアPETボトル 三菱樹脂は、ワインや清酒などのアルコール飲料や食用油、調味料の容器として需要が伸長しているハイバリアPETボトルを増産するため、新しい製造ラインを平塚工場(神奈川県平塚市)内に設置することを決定した。新ラインは2013年11月の営業運転開始を予定しており、この新ラインの立ち上げにより生産能力は2倍強となる予定。投資額は約10億円。

 同社のハイバリアPETボトルは、DLC(ダイアモンドライクカーボン)技術をベースとしたもので、一般的なPETボトルと比較して、酸素などのバリア性(遮断性)に優れている。優れたバリア性によってPETボトルの内容物の品質劣化を抑えられることに加えて、軽量で持ち運びが便利なこと、また、運搬時や小売店の店頭などで商品が落下した場合にも破損しにくいことなどがワインや清酒の大手メーカーから高い評価を受け、ガラス瓶や紙パックの代替容器として採用されている。特にPETボトル入りのワインや清酒の販売が好調に推移し、採用品目も拡大していることから、さらなる需要の伸長が見込まれている。また、食用油や調味料、ドレッシングなどのアルコール飲料以外の分野でも需要拡大が期待されている。さらには、優れた水蒸気バリア性を活かし、サプリメントや医薬品などの錠剤容器向けにも用途展開が見込まれている。

 DLCは、真空状態にしたPETボトルにアセチレンガスを充填しプラズマを発生させることで、薄い炭素膜を内面に蒸着させ、酸素などのバリア(遮断)性を大幅に向上させる。一般的なPETボトルと比べ、酸素で約10倍、炭酸ガスで約7倍、水蒸気で約5倍のバリア性を有する。なお、同技術は、キリンビール等が特許を保有している。

 旺盛なハイバリアPETボトルの需要増加に対応するため、同社は、約10億円を投じて、同ボトルの増産を実施することとした。現在のハイバリアPETボトルの生産は、浅井工場(滋賀県長浜市)で行っているが、東日本にも多くの有力顧客を有すること、またPETボトルの技術開発を平塚工場内で行っていること、さらには同社の事業再編に伴い平塚工場内の土地や建物などを有効活用できることから、新しい製造ラインは、平塚工場内に新設することとした。西に位置する浅井工場に加えて、平塚工場内に新たに生産拠点を設けることで、日本全域をカバーする安定した供給体制を確立する。