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SEMICON Japan 2024

 

日本金属熱処理工業会ら10団体、電力値上げの影響緩和措置要望

 日本金属熱処理工業会( http://www.netsushori.jp )ら素材系の電力多消費産業10団体は6月21日、電気料金の大幅値上げの動きが全国的に拡大し、我が国の電力事情が悪化の一途を辿っている状況を踏まえ、 各団体会長連名による茂木敏充経済産業大臣宛で「電力料金値上げ影響の緩和に関する緊急要望」を取りまとめ、各団体の関係者同席の下、菅原郁郎経済産業省製造産業局長に要望書を手渡した。

 要望書は、原子力発電の再稼働と省エネ投資支援施策の一層の充実の2点について。原発再稼働は、7月中に施行される新規制基準の下、安全が確認される原子力発電については、可及的速やかに再稼働することを求めた。省エネ投資支援施策では、電気料金が正常化するまでの時限的な特例措置として、企業の省エネ行動を後押しするための施策の一層な充実を図るよう要望した。

 さらに、別紙として「電気料金値上げに伴う電力多消費産業への具体的な影響の例」を添付。各産業の現状を訴えた。

 金属熱処理業では、購入電力がおよそ15億kWhにのぼり、この内、現時点で値上げを実施あるいは表明した各電力管内における購入電力は約10億kWh(東京、関西、東北の3電力)におよび、これら管内の電気料金値上げに伴うコスト負担増は約25億円にも上ると解説。金属熱処理業はエネルギー多消費型の業態で、同工業会の調査では電力費が売上高の7.7%を占める。原子力発電所の再稼働が進まない中、火力発電に頼らざるを得ないため化石燃料の高騰を招き、電気以外でガス加熱方式を採用している企業にとってもコスト上昇が避けられず、もともと利益率の低い業界にさらなる大きな影響が懸念されるとした。

 また金属熱処理業は、処理加工業で自社製品を持たない業態で、加工売上の平均が4.5億円、従業員平均も26名とそのほとんどが中小・零細企業のため、コストの上昇を顧客に適正に転嫁することが極めて困難であり、リーマンショック以降売上がようやく85%にまで回復している状況で、さらなるエネルギーコストの上昇は国内での生産が極めて厳しいものになるとした。

 要望書は1月に提出して以来2度目。今回連名の10団体は以下のとおり。日本金属熱処理工業会、新金属協会、日本鉱業協会、日本産業・医療ガス協会 、日本チタン協会、日本鋳造協会、日本鋳鍛鋼会、普通鋼電炉工業会、日本鉄鋼連盟、同 特殊鋼会