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SEMICON Japan 2024

 

NEDOなど、希少金属セリウムの使用量を半減できる研磨パッドを開発

 NEDOと立命館大学、クリスタル光学は、ガラス基板用研磨材に用いられる希少金属セリウムの使用量を半減できる研磨パッドの開発に成功した。

 今回開発した研磨パッドは、フラットパネルディスプレイやハードディスクドライブ等のガラス基板用最終研磨に用いられるもので、ベースであるウレタン樹脂に新たにエポキシ樹脂を添加することで、研磨能率を従来の約2倍に高めることに成功した。この技術により、従来の半分の時間での研磨が可能となり、研磨材に用いられる希少金属セリウムの使用量を半減することができるという。

 ガラス研磨に使われる研磨パッドは、一次・二次研磨で用いられる多孔質パッドおよび不織布パッド等と、最終仕上げ研磨に用いられるスエードパッド等に分類される。今回は、研磨パッド全体の約50%を占めるスエードパッドの高機能化に取り組んだ。

 ガラス基板の研磨は、砥粒を水などに分散させた研磨液を研磨パッドに付けて行う。研磨パッドの役割は研磨液を保持することだが、親水性が高いほど研磨液がよく保持され、より多くの砥粒がガラス表面に作用するので研磨能率が向上する。本技術開発では、研磨パッドに多用されているウレタン樹脂に、高い親水性を有するエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂を添加することにより、親水性の高いスエードタイプの研磨パッドを開発した。

今回開発した研磨パッドの電子顕微鏡像今回開発した研磨パッドの電子顕微鏡像

 開発した研磨パッドは従来のウレタンパッドより高い親水性を持っている。従来の研磨パッドでは、研磨液がはじかれ球状になっているのに対し、開発した研磨パッドでは研磨液が濡れ広がっており、親水性が高いことが分かる。

研磨パッドの親水性の比較研磨パッドの親水性の比較

 新たに開発した研磨パッドは、従来のウレタン樹脂からなる研磨パッドに比べて最大約2倍の研磨能率が得られることが分かった。これにより、従来の半分の時間での研磨が可能となり、研磨工程における生産効率の向上や、セリウム使用量の50%低減にもつながる。また、従来の研磨パッドよりも仕上げ面粗さが優れており、最終製品の性能向上も期待される。

 開発した研磨パッドは、様々な砥粒と組み合わせることで、ガラスだけでなくLED用のサファイア基板やシリコンなどの半導体基板にも適用が可能だという。

従来のウレタンパッド及び開発した研磨パッドの研磨特性の比較従来のウレタンパッド及び開発した研磨パッドの研磨特性の比較