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SEMICON Japan 2024

 

東陽テクニカ、走査電子顕微鏡の性能を常時モニターできる標準試料

 東陽テクニカ( http://www.toyo.co.jp/ )は、i-SEM Laboratory(アイセム、神奈川県相模原市)が開発した高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)の性能を常時モニターできる標準試料の販売を開始した。

 表面のナノ観察・分析で用いられている高分解能FE-SEMでは、試料表面の真の情報を持つ画像を得るためには2kV以下の加速電圧で観察する必要があるという。加速電圧が低くなるに連れ、得られる画像の質は試料表面の汚染の度合い、装置の設置環境、さらに装置を操作するオペレーターの技量など、様々な要因により左右される。このため現場では装置の性能表に記載されている分解能から期待される鮮明な画像が得られない場合があった。

 その結果、装置の性能表に記されている分解能での観察は除振や防音対策が万全な装置メーカーなどのデモルームで、高度の専門性を有する熟練したオペレーターが装置を操作しなければ得られないという考え方がユーザーの間に広く浸透しているという。こうした現状を打破し、ユーザーが現在使用している高分解能FE-SEMの性能を常にモニターできるようにしたのが今回の標準試料。

 標準試料はコロイダルシリカで鏡面仕上げしたSUS304板(大きさ20x20x0.2mm)の中心部分(直径3mm)を高周波グロー放電スパッタにより処理し、研磨後も残存している表面のわずかな損傷や汚染層を除去したもの。ユーザーは手持ちのFE-SEMで表面に点在するMnS, TiO2, Al2O3などのナノ介在物を倍率10~20万倍、加速電圧1.0kV(必要に応じて1.5kV, 800, 600, 300, 150V)で撮影して、その画像の鮮明度を標準画像 (Carl Zeiss ULTRA55;加速電圧1 kVでのメーカー公表分解能1.6 nmで撮影:In-lens SE.SE2, High-angle BSEモード)のものと定期的に比較するで、使用しているFE-SEMの状況を容易にチェックできる。

 また鮮明な画像が得られない場合には撮影した画像をpdf fileで送付すれば、その画像をアイセムで解析・診断し、改善のためのアドバイスも提供する。