ショットピーニング技術協会( http://shotpeening.gr.jp/ )は1月23日、東京・神田駿河台の明治大学 駿河台キャンパスで「ショットピーニングシンポジウム」を開催した。
シンポジウムのもよう 今回のシンポジウムは、昨年の9月にドイツ・ゴスラー市のACTERMANN HOTELで行われた「第12回ショットピーニング国際会議」で発表された日本人研究者の講演から選定された。同国際会議では世界各国から全96名の発表があり、開催国のドイツが最多で33名、日本が18名、中国10名、フランス7名、アメリカ5名と続き、過去を振り返っても日本は国際会議に対して積極的に対応しているという。
当日行われたシンポジウムの発表者、講演タイトルは以下のとおり。
当舎勝次氏(明治大学)「第12回ショットピーニング国際会議(ICSP12)概要報告」、小野耕平氏(金沢工業大学)「陽電子消滅γ線ドップラー幅広がり測定法によるアルミニウム合金へのショットピーニング処理効果の評価」、南部 紘一郎氏(鈴鹿工業高等専門学校)「微粒子衝突処理の表面改質効果におよぼす影響因子の解明」、原田泰典氏(兵庫県立大学)「ショットライニング加工熱処理による熱間工具鋼への機能性皮膜形成」、榎 学氏(東京大学)「水中でのレーザーピーニング工程中のAEモニタリング」、宇佐美 初彦氏(名城大学)「微粒子ピーニングによるスラスト針状ころ軸受の特性改善」、政木清孝氏(沖縄工業高等専門学校)「Ti-6Al-4V合金の高サイクル疲労特性におよぼすジルコニアショットピーニングの影響」、菊池将一氏(神戸大学)「アルミニウム合金の微視組織および疲労特性に及ぼす超微粒子ピーニングの影響」、皮籠石 紀雄氏(第一工業大学)「ショットピーニングした高強度Al合金の疲労特性に及ぼす湿度の影響」。
総括をする当舎会長 シンポジウムの最後に総括を行った当舎勝次会長は、「今回の発表を聞いて原子・分子レベルの影響で金属疲労が左右されていることが分かった。昔は残留応力についても圧縮残留応力が高ければ良いといったレベルだったが、最近は一線を越えてそう簡単なものではないことが分かる発表だった。また、疲労試験でも部品の長寿命化などに伴い繰り返し回数で108以上行ったデータ発表があり、以前よりも格段と深い内容になっている印象を受けた。3年後には第13回ショットピーニング国際会議がカナダ・モントリオールで開催されることが決まっている。是非、日本人の研究の奥深さを世界に見せて頂いたら良いと思う」と述べた。