田中貴金属グループでめっき事業を展開する日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(EEJA、 http://www.eeja.com/ )は、中国でのめっき事業の拡大・強化を目的に上海に現地法人としてEEJA上海を設立した。
EEJAは、従来の劇毒物であるシアン化合物を使用しためっき液に加えて、数十年にわたりシアン化合物を使用しないノンシアンめっき液にも対応しており、中国で初めてプリント基板向けノンシアンめっき液を導入する。EEJA上海はめっき液の分析、めっき技術コンサルティング、顧客試作用パイロットライン運営の指導を主業務とし、現地の中国企業と連携しながらラボ業務を担う。また、めっき液製品の販売についてはこれまで通り田中貴金属(上海)に委託する。EEJA上海設立により、中国国内の顧客はサービス提供までの日数を従来の10分の1に短縮することが可能になり、分析評価のスピード向上を図ることができるという。
シアン化合物は、排水処理の不備などにより自然環境への悪影響が懸念されており、中国では環境保護政策の一環としてシアン化合物への規制が進んでいる。これにより、環境に配慮したノンシアンめっき液の需要拡大が見込まれているものの、ノンシアンめっき液の製造会社が限られ、中国現地では入手しづらいという難点があった。EEJAでは、2014年6月、プリント基板向けに完全シアンフリーの無電解置換金めっき液「レクトロレス IGS2020」を開発、提供を開始した。今回のEEJA上海設立で他社に先駆けて「レクトロレス IGS2020」を提供する体制を整えることにより、将来的な顧客ニーズに備え、中国市場でのノンシアン金めっき液の普及拡大を図る。
同社では、中国国内において初年度に7.2億円、2020年度には36億円の売上を目指す。