メインコンテンツに移動
SEMICON Japan 2024

 

パーカー熱処理工業など、第13回表面改質技術研究会を開催

 パーカー熱処理工業( http://www.pnk.co.jp )主催、日本パーカライジング( http://www.parker.co.jp/ )共催、パーカーエス・エヌ工業( http://www.parker-sn.co.jp/ )・日本カニゼン( http://www.kanigen.co.jp/ )協賛の「第13回表面改質技術研究会」が10月9日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で開催、約200名が参加した。

挨拶する安部社長挨拶する安部社長 当日は、パーカー熱処理工業の安部壽士社長が「今年も昨年の三氏に続いてノーベル医学・生理学賞で大村先生、物理学賞で梶田先生が受賞なされた。この報に接し日本人の一人として感激に堪えない。また、日本の科学技術者の層の厚さを改めて理解するところである。受賞者の談話を聞いた中で特に感銘を受けたのは、“失敗を恐れるな”という大村先生の言葉である。まさにエジソンの言葉にある“失敗は成功の母”と同一のコメントであり、改めて肝に銘じた次第である。また今週は、TPP大筋合意のニュースもあった。輸送機器業界においては自動車部品の8割以上に課せられる関税が撤廃になる。この合意は、当社はもちろんのこと、本日ご出席されている皆様の企業の活力へのフォローになるのではないかと推察している。今回の当研究会は、環境に配慮し高精度・高強度・高機能・高性能を目指す表面改質をテーマにしている。弊社からの技術紹介の後に、外部講師として招聘したお二方に講義を承る」と開会の挨拶を述べた後、各講演の概要紹介を行い、以下のとおり講演が行われた。

 「雰囲気制御式ガス窒化/軟窒化」平岡 泰氏(パーカー熱処理工業)……窒化ポテンシャル制御により回転曲げ疲労強度や耐摩耗性・耐食性などの機械的特性、NH3使用量の削減や作業者のスキルフリーなど生産性を向上する窒化装置について紹介。同社が新たに開発したガス(軟)窒化プロセス「EXCELLENITE」は、内蔵した水素センサによって炉内のアンモニアと水素の圧力を測定し、ε層からγ’層への2段階窒化によるγ’単相化処理など、最適な窒化層を形成するための制御を行う。これにより、従来処理に比べて処理時間を75%短縮するという。また同社が保有している金属種別ごとのデータベースを組み込んだ窒化シミュレーションソフト「NITRONAVI」を搭載したことで、窒化条件の最適化が可能になった。同装置は来年1月に「サーモニンジャ」として販売の予定だという。

 「軽自動車の生産に必要な熱処理技術について」垪和成佳氏(ダイハツ工業)……軽自動車の製造工程において使用される熱処理技術の重要性、ヘッドシリンダやブロックシリンダ、ピストンなど自動車部品に適用された熱処理技術の事例、熱処理技術を活用した開発事例としてMQL(Minimum quantity Lubrication)加工について、金型・工具における熱処理事例について解説した。講演では、環境面から自動車製造における熱処理を見た場合、LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点で見る必要があると指摘。素材と生産工程をトータルで見た場合のCO2排出量や自動車を使用した時のCO2排出量のシミュレーションを示し、「熱処理技術は、自動車のライフサイクルで考えた場合、CO2発生量を低減可能とする非常に有効な手段」とした。

 「高疲労強度化に向けた金属組織制御にみるエコマテリアルとの接点」梅澤 修氏(横浜国立大学)……エコマテリアルの概念とその将来展望について紹介し、鉄鋼材料の疲労特性と熱処理との関連について述べた。講演では、低環境負荷と材料の高強度化・長寿命化、表面硬化熱処理材における疲労破壊、高強度材の疲労き裂発生(歪不整合と微小き裂成長)、長寿命化のための材質制御について様々な現象例を用いて解説した。高強度材の疲労き裂形成については、「実験結果が示す証拠は断片的であり、依然としてモデルを立証するには至っておらず、特にクラッキングの理解は未だ直接的証拠を得られていない」とした。

第13回表面改質技術研究会のもよう第13回表面改質技術研究会のもよう