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神奈川県産業技術センターなど、平成27年度技術交流会で熱処理・DLCコーティング技術フォーラム開催

 神奈川県産業技術センターと神奈川県産業技術交流協会は10月28日~30日の三日間、神奈川・海老名市下今泉の同センターで「平成27年度 神奈川県ものづくり技術交流会」を開催し、29日に「熱処理技術フォーラム」、「DLCコーティング技術フォーラム」が行われた。

 熱処理技術フォーラムでは、関西大学の西本明生教授が「アクティブスクリーンプラズマ窒化(ASPN)処理」と題して講演。ASPN処理は、試料を電気的に絶縁し、その周囲に金属製のスクリーンを陰極として設置する。ここに電圧を印加することで、試料表面ではなくスクリーン表面で窒素分子、原子、イオン、ラジカル、電子に加え、スクリーンの構成物質およびその窒化物が混在したプラズマを形成する。これらがガスの流れによって試料表面に蒸着し、内部に拡散することによって複雑な形状の材料に対しても均一に窒化処理を行うことができるという。このほか、最近の動向としてASPN処理を応用してTiN被膜と窒素拡散層の同時複合処理などが行われていることなどを報告した。

 また当日は、同センター 機械・材料技術部 高木眞一氏が熱処理・表面処理技術研究会の活動報告として「窒化鋼材の疲労強度特性に及ぼす表面化合物層の影響」、「工具鋼の疲労強度特性に及ぼすセラミックコーティングの影響」の2件について報告したほか、東海大学 宮沢靖幸教授「各種金属材料のろう付と界面組織観察」、横浜国立大学 梅澤 修教授「金属材料の高強度化にともなう組織構造に敏感な疲労き裂形成の考え」の講演が行われた。

 DLCコーティング技術フォーラムでは、豊橋技術科学大学の滝川浩史教授が「フィルタードアーク蒸着で作る高品質DLC膜」と題して講演。真空アーク蒸着法で課題となっているドロップレットの付着を防止する「T-FAD(T字状フィルタードアーク蒸着装置)」を用いてコーティングしたDLC(ta-C)膜の概要と、切削工具やモールドプレス用ガラスレンズ金型に対しての適用状況などについて解説した。また、次世代応用としてNEMSやMEMSへの展開を図るためマイクロパーツやナノインプリント原版の試作の状況や、近年開発された軟X線分光器(SXES)の感度改良のため軟X線用回析格子の増回析膜としてta-Cが適切であることが提案されていることなどが報告された。

 同フォーラムでは、このほか慶應義塾大学 鈴木哲也教授「大気圧プラズマ方式による炭素系およびSiOx薄膜の合成と応用」、同センター 機械・材料技術部 加納 眞氏「DLCコーティングエンジン部品適用の歴史と進展」、同 堀内崇弘氏「DLC膜の密着性評価手法について」、同 渡邊敏行氏「大気圧プラズマ技術を用いた薄膜作製」、同 吉田 健太郎氏「DLCの摩擦特性に及ぼす摩擦前洗浄溶剤の影響」の講演が行われた。

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