日立パワーソリューションズ( http://www.hitachi-power-solutions.com/ )とトライエンジニアリング( http://www.trieg.co.jp/ )は、接合品質に優れた摩擦攪拌接合(FSW)を行なうロボット(以下、ロボットFSW)を共同開発した。自動車関連メーカーやアルミ製品メーカーなどの自動生産ライン向けに提案を行っていく。
近年、自動車や航空機などの輸送関連分野では、軽量化が求められており、特に自動車分野においては、さらなる燃費向上を目指し、アルミ材の採用が拡大している。それに伴い、従来より複雑な形状や曲面への対応が求められるアルミ材の接合において、これまでの溶融溶接や抵抗溶接などでは、ピンホールの発生や溶接後の変形(ひずみ)、組織の粗大化などに伴う材料特性の変化が大きいなどの課題があり、高品質な接合を実現し、生産ラインにおける自動化に対応した新しい技術が求められているという。
今回開発したロボットFSWは、日立パワーソリューションズが有するFSWの技術とトライエンジニアリングが有するロボットの制御技術を融合し、複雑な曲面でもアルミなどの薄肉材料を接合することができる。
FSWは、1991年に英国TWI(The Welding Institute)で考案され、円柱状の接合ツールを回転させて発生する摩擦熱を利用し被接合材料を軟化させ、かき混ぜることで接合する技術。材料を溶かさず固相接合を行なうため接合強度が高く、接合変形や内部欠陥が少ない接合が可能になる。日立製作所が1993年からFSWの研究に取り組み、日立パワーソリューションズではこの技術を取り入れた研究開発や生産向けのFSW装置の販売を2000年から開始している。トライエンジニアリングは、板金加工分野に適したロボットヘミングシステムの開発やロボット生産設備に多くの導入実績を持ち、ロボットシステム製品の研究開発およびロボットを核とした生産システムを提供している。