パテント・リザルト( http://www.patentresult.co.jp )は、日本に出願された機械・摺動部材へのDLCコーティング技術・部材について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて参入企業に関する調査結果を取りまとめた。
様々な機械部品で構成される製品、装置等において、部品間の接触部分に生じる摩擦力によりエネルギーロスが生じ、さらには摩耗によるロスも発生する。こうした摩擦力や摩耗を低減するため、主に潤滑油が用いられているが、さらなる摩擦力、摩耗を低減させるため、硬質被膜、特にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を用いる技術が注目されている。この調査では機械・摺動部材へのDLCコーティング技術およびDLCコーティングされた部材に関する特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行ったという。
その結果、「総合力ランキング」では、1位日産自動車、2位神戸製鋼所、3位NTNとなった。
機械・摺動部材へのDLCコーティング技術・部材 特許総合力トップ5
機械・摺動部材へのDLCコーティング技術・部材 競合状況
総合力1位の日産自動車は、DLCの水素含有量や金属含有量を規定した特許が高い注目度となっている。特に評価が高い特許は日本工業大学・三宅正二郎教授との共同保有となっており、三宅教授は日産自動車との共同研究において価値を創出した研究を表彰するカルロス・ゴーン賞を受賞している。総合力2位の神戸製鋼所は密着性を高めるために設けるDLCと基材との間の中間層に関する技術、3位NTNはDLCをコーティングしたラッシュアジャスターに関する特許の注目度がそれぞれ高くなっている。
総合力上位5社のDLCコーティング方法および部材の割合
上図は、分析対象特許を代表的なコーティング方法である物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)の二つに分け、これらの出願割合を総合力上位5社について見たもの。総合力上位企業はDLCコーティング方法としてPVDを用いることが多い中で、ジェイテクトはPVDよりもCVDの割合が非常に高くなっている。また、DLCコーティング部材に関する特許を含めて割合を見ると、NTN、ジェイテクトはDLCコーティング方法に関する特許の割合が他社に比べて少なく、DLCコーティング部材に関する特許が中心であることが分かる。著名なベアリングメーカーであるジェイテクト、NTNの2社の特許はこれらの結果から最終製品に近い技術に関するものが中心であると言える。