日立ハイテクサイエンス( http://www.hitachi-hightech.com/hhs )は、計測精度と操作性を大きく向上させた走査型プローブ顕微鏡システム「AFM5500M」の販売を開始する。
新開発のスキャナや低ノイズ3軸センサなどにより高い計測精度を実現するとともに、カンチレバー交換や光軸調整を自動化するなど、操作性を大幅に向上させることで、オペレーターの負担を軽減する。これにより従来多く利用されていた研究開発用途だけでなく、ますます微細化が進む生産現場での品質管理など工業計測用途での利用も可能になる。
同システムは新たに開発した、平行運動をする走査機構を備えたXY200µm広域フラットスキャナを搭載することで、直線性の高い計測を実現し、歪み等を改善する。加えて、クローズドループ制御の低ノイズ位置センサを装備したことにより、同社従来機と比べ10倍の高精度で3Dプロファイル(表面形状および物性)が取得できる。またカンチレバーの装着・交換、光軸調整を自動化するとともに、さまざまな用途で使える直径100mmサイズの試料台を採用している。電動ステージにより、簡便な位置合わせおよび複数個所の連続自動測定も可能。加えて測定パラメータ自動調整によりワンクリックで観察イメージを取得できる。これらにより、高い精度を実現しつつオペレーターの負担を大幅に軽減する。
走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)は、先端が数nmに尖ったプローブ(探針)でサンプル表面を走査することにより、ナノレベルでサンプル表面の立体形状観察と物性マッピングを同時に行うことができる装置。これまでSPMは、有機・高分子やエレクトロニクスなど幅広い分野で、ナノ領域の研究開発を中心に利用されてきた。さらに近年、微細化が一段と進む電子部品や高機能材料、精密部品などでは、開発・製造・品質管理工程でより高分解能な計測ができるSPMへの期待が高まっている。しかし従来のSPMでは、円弧運動をする走査機構に起因する歪みや走査範囲の狭さ、またカンチレバーの装着や調整の煩雑さなどにより、熟練したオペレーターが必要とされることが課題になっていたという。