住友電工ハードメタル( http://www.sumitool.com )は、加工の安定性と長寿命を可能とした鋼旋削加工用のチップ「AC8025P」を開発、販売を開始した。
同品は新開発の強靭性超硬母材上に同社独自のCVDコーティング技術である「アブソテック プラチナ」を適用している。このコーティング技術により、被膜の残留応力を制御、コーティングの密着性を大幅に向上、従来コーティング膜対比で耐摩耗性は維持したまま2倍以上の耐チッピング性を実現、焼き入れ鋼を除くあらゆる鋼の旋削加工(高速~中速領域の粗切削、中仕上げ切削、仕上げ切削、断続切削)の幅広い用途に適用可能だという。
また、切れ刃稜線部に対して表面平滑化処理を行うことで耐溶着性を大幅に向上させることに成功した。特に低炭素鋼、鉄板材など溶着が発生しやすい被削材の加工では切れ刃部で膜はく離や膜チッピング等が発生し、仕上げ加工面の悪化、工具寿命の低下等が問題となる場合があったが、同品では寿命安定性が改善されるという。
自動車産業をはじめとする機械部品加工や重電・鉄鋼・建設機械加工においては、短納期対応、加工コスト低減を実現するため、切削工具に対する高能率化や長寿命化の要望が高まっている。また、これらに加え、省人化(自動化、無人化)のため切削加工時に突発的なトラブルを起こさない安定した工具寿命も求められている。 これらの要望に応えるべく、鋼旋削加工において汎用から断続加工をも含めた幅広い用途に適用でき、安定長寿命化を実現する同品を開発した。