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SEMICON Japan 2024

 

ヤマハ発動機、数十nmのSixOyNzセラミックス被膜を成膜する技術を開発し他社に技術供与

SixONyナノ膜コーティング技術によるエキゾーストパイプ採用のMT-09 TRACERSixONyナノ膜コーティング技術によるエキゾーストパイプ採用のMT-09 TRACER ヤマハ発動機( http://global.yamaha-motor.com/jp/ )は、金属母材上に20〜150nmの厚さの緻密なSixOyNzセラミックス被膜を物理蒸着(PVD)法のDCマグネトロン反応性スパッタリング法により成膜する「ナノ膜コーティング技術」を開発、同業他社や異業種に技術供与する。

 SixONyは、同社独自の技術で、厚さ数十nmの膜(Nano-Film)で構成される、アモルファス構造の酸窒化ケイ素(SiOxNy)セラミックス膜に由来する造語。700℃までの耐熱性、優れた耐食性、酸素・水分・塩素等に対する優れたバリア効果、金・青・桃・紫等多彩な発色、耐熱性の高い無色透明・絶縁膜などが特徴。

 従来の装置による一般的なSiO2膜やTiN膜では、400°C以上の加熱ではく離やクラック、変色を生じていたが、同技術のSiOxNy膜は、500°C以上の加熱でもガスバリア性を有し、コーティングされた金属は熱変色せず、錆びも発生しないという。被膜はアモルファス構造をしている。

 被膜の適用を想定した二輪車の排気管は3次元に曲がっている形状のため、表面へ均一にコーティングするためにワークに合わせて治具を工夫し、PVD装置も改良した。実車による走行テストでは、コーティングされた排気管を用い、耐高温酸化性、耐摩耗性、耐食性の評価を行い、満足な性能を得ることができたという。また、コーティングにより泥汚れや油・タイヤ屑などが付着しにくく、洗車しやすいなどの効果も得られた。
 
 この被膜はすでに同社のスポーツバイク「MT-09」シリーズのエキゾーストパイプや、他社製カクテルシェーカー等に採用されている。