神戸製鋼所( http://www.kobelco.co.jp/ )は、被処理体を均等に加圧するプレスの一種である等方圧加圧装置(Isostatic Press:IP装置)の世界トップメーカーであるスウェーデンのQuintus Technologies AB(Quintus社)を、その親会社である米国ファンドのMilestone Partners社から買収した。買収額は、約130億円)で、同社100%出資の完全子会社とする。
IP装置は、金属やセラミック、カーボンなどの素材を高圧・高温(または常温)環境下において等方圧で加圧焼結または成形する装置であり、航空機部品や発電用タービンブレード、半導体関連素材などの高機能製品に幅広く適用されている。種類としては、圧力媒体にガスを利用する熱間等方圧プレス(通称:HIP)と液体を利用する冷間等方圧プレス(通称:CIP)に大別される。
Quintus社は世界のIP装置市場においてトップメーカーであり、今後伸張が期待される航空・宇宙分野を中心に、欧州・米国で存在感を示している。今回の買収により、神戸製鋼所では世界市場をターゲットにさらなる事業拡大を目指す。
同社機械事業部門の中期経営計画においては、IP装置事業を含む産業機械事業のさらなる高収益化を目指している。同社IP装置事業は、産業機械事業部のメニューの中では、比較的高収益な事業だが、日本を始めアジア市場を中心に直近5ヵ年で平均約30億円の売上高に留まっており、さらなる市場拡大が課題となっていた。
今回のQuintus社買収により、新たな製品群と成長市場を獲得でき、事業の大幅な拡大が期待できる。さらに、製造メニューの相互移管や購入品の共同調達等による生産効率化・コストダウンを実施するなどのシナジー効果も期待できる。
Quintus社の大型HIP装置