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SEMICON Japan 2024

 

三菱マテ、薄膜Si太陽電池に塗布することで真空成膜と同程度の変換効率が得られる電極用インク

 三菱マテリアル( http://www.mmc.co.jp )は、薄膜Si太陽電池に塗布することで、従来の真空成膜と同程度の変換効率が得られるナノサイズ粒子を分散した電極用インクとして、Agナノインク、ITO(インジウム スズ 酸化物)ナノインク、シリカインクを開発した。

 今回同社が開発した電極用インクは、今後の活用が期待される薄膜Si太陽電池のSi層に塗布することで、裏面電極とよばれる厚さサブミクロンオーダーの薄膜を形成することができる。このように製造された薄膜Si太陽電池は、厚さがミクロンオーダーのSi、Ag、SnO2等の積層体であり、現在主流のSi結晶型太陽電池と比べ、①Si使用量を1/100程度に削減することができる②エネルギーペイバックタイム(発電設備の製造に用いたエネルギーと同量のエネルギーを、その設備の発電によって作り出すのに要する運転期間)が短い、③化合物半導体型薄膜太陽電池と比べテルルなどの原料使用量の制約を受けない、などの利点があるという。

 一方、太陽電池メーカーにとっての課題は、多数の真空成膜装置を導入する初期投資コストが大きい点であり、塗布成膜プロセスへの置換えによる大幅なコストダウンが望まれているという。今回同社が開発した電極用インクを用いることで、太陽電池メーカーにとっては低コスト化が進み、今後拡大が予想されるメガソーラー(1MWクラスの太陽光発電設備)需要への採用が期待される。
三菱マテリアル「電極用インク」