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SEMICON Japan 2024

 

東京エレクトロン、半導体3次元積層技術の実用化を目指しポリイミド成膜装置を販売

 東京エレクトロン( http://www.tel.co.jp )は、蒸着重合技術を用いたポリイミド成膜装置「TELINDY PLUS」の販売を開始すると発表した。

 近年、スマートフォンやタブレットPCなどの普及により、半導体はさらなる小型化や高機能化、省エネ化が求められている。そのため、半導体製造においては、微細化と並んで、それらの要求を可能にする、複数の半導体を縦方向に積み重ねる半導体3次元積層技術が注目されているという。同社は、半導体3次元積層技術の中核となるTSV(Through Silicon Via:シリコン貫通電極)に注力しており、これまでTSV用シリコン深掘エッチング装置を販売してきた。

 今回は、3次元積層技術の実用化の加速を目指し、電子回路の絶縁材料として用いられるポリイミドを成膜する装置のほかに、TSV用シリコン深堀エッチング、ウェーハボンディング(仮貼り合わせ・接合)/デボンディング(剥離)の分野で5つの新製品を投入する。
 
 半導体3次元積層の要であるTSV形成の大きな課題の一つとして、低温でステップカバレッジ(基板表面に成膜したときの段差部の皮膜状態を示す指標:ステップカバレッジ(%)=段差部の膜厚/平坦部の膜厚×100)が高い絶縁膜の成膜が困難であることが挙げられていた。今回の成膜装置は、同社が研究を重ねてきた蒸着重合の技術を用いることでこの課題を解決し、従来の温度より低い200度で、ステップカバレッジ100%のポリイミドをアスペクト比(ウェーハ上に形成されたパターンの深さと幅の比)10のTSVのビア側壁の絶縁膜として成膜することに成功した。

 また、他の課題として、膜のストレス(応力)による薄化されたウェーハの反りがある。半導体3次元積層では、配線距離を短くするためにウェーハ自体を極めて薄くする必要があるが、薄化されたウェーハが膜のストレスによって反る問題が発生していた。同社の蒸着重合技術で成膜されるポリイミドは、従来の膜に比べて膜のストレスをおよそ10分の1に抑えられるため、この問題を軽減することができるという。