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SEMICON Japan 2024

 

表面技術協会、第63回通常総会・協会賞授与式を開催

 表面技術協会( http://wwwsoc.nii.ac.jp/sfj/ )は2月24日、東京・麹町の弘済会館で「第63回通常総会・各賞授与式」を開催した。

 当日は第62期事業報告、会計報告が行われた後、第63期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、公益法人改革に対応し、社団法人から一般社団法人への移行を行ったことや講演大会の実施状況、会員動向などの報告を行った。事業計画では、表面技術の基礎的分野における学術的討論を行うためのアカデミック研究会討論会を開催、SURTECH企画立案および実施などを行うことを確認した。

 また任期満了に伴う役員改選では、今期(63期)より会長に里見多一氏(日本パーカライジング・代表取締役社長)、副会長に金井洋氏(日鉄住金鋼板・鋼板開発技術部長)、田邉弘往氏(大日本塗料・技術開発部門フェロー)、光田好孝氏(東京大学生産技術研究所・教授)、渡部修一氏(日本工業大学工学部・教授)の4名が選任された。

会長に就任した里見氏会長に就任した里見氏 会長に就任した里見氏は「東日本大震災の影響により、日本の経済あるいは多くの会社と同様に当協会も財政状況は厳しい中、これからいかに協会を盛り上げていくかを考え、身の引き締まる思いだ。幸いなことに4名の力強い副会長のご支援を頂けること、そしてここにお集まりの理事の方々などのご支援を頂ける。全会員でこの厳しい状況を確認しあい、伝統ある当協会の生き残りをかけた活動にしなければいけないと決意を固めている。これからの2年間ご指導ご鞭撻をお願いしたい」と決意を述べた。

高橋前会長高橋前会長 続いて前期会長を務めていた高橋英明氏(旭川工業高等専門学校・校長)が「私が当協会の会長を仰せつかった2年前の総会は協会設立60周年で祝賀ムードだった。昨年の総会では公益性の強い一般社団法人として新しく羽ばたいていくという気持ちだった。しかし、その後に東日本大震災が発生、1万人以上の方が亡くなり、協会としても春の第123回講演大会を中止せざるを得なかった。また、7月のSURTECHにも大きな影響があった。後半1年は痛めつけられた一年だった。しかし、そこで協会の会員同士が助け合う姿を見て絆の強さを確認することもできた。これから里見丸が出航するが、私どもの時と同様ご指導ご鞭撻を頂けるようお願いしたい」と退任の挨拶を述べた。
 
表彰される伊藤氏(右)表彰される伊藤氏(右) 当日の席上では、「平成24年度表面技術協会-協会賞・功績賞・論文賞・技術賞・進歩賞・技術功労賞-授与式」が行われ、伊藤征四郎氏(近畿大学理工学部応用化学科・特任教授)が業績「各種金属材料の表面改質および金属・無機化合物ナノ粒子の合成に関する研究」で協会賞を受賞した。伊藤氏は金属材料の表面改質および金属・無機化合物ナノ粒子の合成に関する一連の研究において、学術的な知見をベースに精力的に応用研究に研鑽を重ね、表面技術の学位および技術の進歩・発展に顕著な貢献をした。

表彰される野瀬氏ら表彰される野瀬氏ら また論文賞は野瀬健二氏(東京大学 生産技術研究所 物質・環境系部門・助教)ら4名が「高周波バイアススパッタにおけるDLC薄膜/基材界面の構造変化と耐磨耗特性」で受賞。野瀬氏らは同論文でDLC薄膜と基材間の密着性を課題の一つとして捉え、界面の状態に着目、反応層(炭化層)を形成しにくいシリコン基材上でのDLC付着力向上の手法とその物理的メカニズムを提示することを目的とし、DCL堆積の前処理として行う基板への高周波印加により形成される界面構造とそれに伴う付着力の変化を明らかにした。

 協会賞などの受賞者一覧は以下の通り。

協会賞

伊藤 征司郎 氏 (近畿大学 理工学部 応用化学科 特任教授)
業績:「各種金属材料の表面改質および金属・無機化合物ナノ粒子の合成に関する研究」

功績賞

古賀 孝昭 氏 (元荏原ユージライト)

論文賞

野瀬 健二 氏、森久 祐弥 氏、佐々木 勇斗 氏、光田 好孝 氏 (東京大学 生産技術研究所)
「高周波バイアススパッタにおけるDLC薄膜/基材界面の構造変化と耐磨耗特性」
(表面技術 第61巻 第8号 591~596ページ)

多田 英司 氏 (秋田大学 大学院工学資源学研究科、[現] 東京工業大学)、堀内 義徳 氏 (秋田大学 大学院工学資源学研究科、[現] 田中貴金属工業)、金児 紘征 氏 (秋田大学 名誉教授)
「二液相界面における電析Znの成長にともなう液体流の光学的可視化」
(表面技術 第61巻 第11号 779~785ページ)

技術賞

白垣 信樹 氏、小菅 哲嗣 氏、及川 広行 氏、小林健一郎 氏、金井 洋 氏、和氣 亮介 氏、(日鉄住金鋼板 鋼板開発技術部)
「防汚性、耐久性、意匠性に優れる外装建材用塗装鋼板の開発」

進歩賞

野瀬 健二 氏 (東京大学 生産技術研究所 物質・環境系部門)
業績:「気相合成プロセスを用いた炭素系薄膜材料の表面、界面制御に関する研究」
掲載:表面技術 第61巻 第8号 591~596ページ ほか

技術功労賞

川野 清繁 氏 (九州テクノリサーチ) *新日本製鐵より出向中
徳吉 正文 氏 (東海テクノリサーチ) *新日本製鐵より出向中
藤原 恵 氏 (サーテックカリヤ)
渡壁 昌樹 氏 (JFEスチール スチール研究所)

会員増強協力者

新井 進 氏(信州大学 工学部)
齋藤 永宏 氏(名古屋大学 エコトピア科学研究所)
野田 和彦 氏(芝浦工業大学 工学部)
若林 信一 氏(長野県テクノ財団)

職員表彰

及川 耕一 氏(事務局長、勤続満30年表彰)