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第9回ものづくりワールド名古屋

 

ブルカー、単一分子計測用の高速AFMシステムを発表

 ブルカー社は、毎秒50フレームという高いイメージング速度を実現する高速AFMシステム「JPK NanoRacer®」をリリースした。生命現象の動的プロセスの真の単一分子・リアルタイム観察が可能となる。当該領域のエキスパートとの緊密な連携のもとに開発され、高速性に加え原子分解可能な高いイメージング性能、従来にない使いやすさを実現。生化学、分子生物学、医療関連分野において,単一分子の振る舞いや分子反応のダイナミクス解析に用いることで、現象に対するより深い理解につながるデータの獲得が可能となる。

高速AFMシステム「JPK NanoRacer®」
高速AFMシステム「JPK NanoRacer」

 

 NanoRacerは、微小カンチレバーの使用を想定して設計されており、流体中の試料観察において100 nm×100 nmの走査範囲、測定点数10000ピクセルの条件下において、秒間50フレームのイメージングを実現する。

 さらに光熱励振機能や新しい高分解能XYZフレクシャースキャナー、各軸に低ノイズ位置センサーを搭載したハイエンドの研究用AFMとなっており、最高感度の力検出能と高い空間分解能、高い安定性を兼ね備えていることから、分子・ナノスケールの高度なアプリケーションに最適。

 JPKの高性能コントローラ「Vortis™ 2」と直感的で分わかりやすいユーザーインターフェースを備えたソフトウェアが搭載されており、自動化されたセットアップ機能やマルチユーザー環境に最適化されたシステムにより、研究者は実験だけに集中することができる。

 主な特徴は、以下のとおり。

・50フレーム/秒の最高撮像速度を実現
・直感的で使い易い操作を実現するV7ソフトウェア
・新開発の高速ヘッド・スキャナユニット
・自動カンチレバーアライメント
・最高の安定性を実現するための堅牢設計
・小・中型カンチレバーに対応
・オプションで、ブルカー独自のPeakForceタッピングモードに対応

 金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)の安藤敏夫特任教授は、「生体分子には未解明な点がまだまだ数多く残されており、その解明には機能活動中の個々の分子を直接観察する必要がある。今回発表された高速AFM、NanoRacerは生体分子を直接リアルタイムで観測する性能を有し、また、簡単な操作と高いパフォーマンスを実現するための多くの革新的なアイデアが盛り込まれている。多くの研究者がこのNanoRacerを使ってエキサイティングな発見に出会うことを願っている」と述べている。

 また、ブルカーBioAFMグループの最高責任者トルステン・ヤンケ氏は、「NanoRacerは、高速AFM領域におけるブルカーのイノベーションの集大成で、その性能と使いやすさの双方の観点から、単一分子観察のためのハイエンドなAFMマーケットに革命を起こすと確信している。生化学、分子生物学、創薬分野の研究者にとって、分子ダイナミクスの直接観察から、分子構造と機能との相関に対し、より深く正確な理解をもたらすAFMツールとなるだろう」と語っている。