サーフテクノロジー( https://www.microdimple.co.jp/ )は9月25日、耐摩耗性(高硬度)や低摩擦特性(自己潤滑性)、耐食性、ガスバリア性、生体親和性などに優れる非晶質構造のカーボン膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングに関して、FDA(米国食品医薬品局)認証を取得した。DLCコーティングのFDA認証取得はキリンなどで実績はあるものの、いずれもペットボトルなどに成膜されるPLC(ポリマーライクカーボン)であり、sp3比率の高い工業用DLCでのFDA認証の取得は国内で初めてとなる。
同社ではホッパーやふるい、フィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案。食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮するほか、抗菌性能、カビ増殖抑制効果などが確認されていることから採用が拡大しているが、今回DLCコーティングでFDA認証を取得したことで、MD処理のテクスチャ形状を保持する性能と自己潤滑特性を持つDLCコーティングをMD処理と併せて食品業界に強力に提案していく考えだ。
DLCコーティングは耐摩耗、低摩擦の特性から自動車部品などで採用が進んでいるが、潤滑剤がない、あるいは潤滑剤が少量でも低摩擦を実現する自己潤滑性と耐摩耗性から、食品分野でも麺切刃や製袋機の羽根、フィルムガイド、シュークリームノズルなど幅広い採用実績を持つ。
DLCコーティングはまた、人体と同じ炭素と水素から構成されているため生体親和性に優れているため安全に安心して使える材料である一方で、食品業界からはDLCコーティングの衛生安全性を保障する公的な証書などを要求されていた。これに対し同社では、「医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性、有効性、安全性を確保することにより、公衆衛生を保護する責任を負っていること」をミッションに掲げるFDAの認証を取得することでDLCコーティングの食品分野、医薬品分野での安全性を証明したもの。
DLCコーティングのFDA認証取得に向けた取組みは2018年3月に開始。その後、DLCコーティングの化学構造、密度、溶出試験など認証に必要な各種データを取得しFDAに提出、本年9月25日に認証取得に成功した。
下平英二社長は、「DLCコーティングはMD処理で形成したテクスチャを保持する機能があることからMD処理との複合処理としても有効。食品分野では、菌が繁殖する温床ともなる潤滑剤の使用を避けたいというニーズもあり、FDAによって安全性が確認されたDLCコーティングの自己潤滑特性を前面に、食品分野での適用を広げていきたい。一方で、潤滑剤の使用が避けられない用途ではNSF H1認証取得の潤滑剤も提供できる体制となっている。MD処理、FDA認証取得のDLCコーティング、NSF H1認証取得の潤滑剤といった各種のソリューションを活用して、引き続き、現場の多様な課題の解決に努めていきたい」と語っている。