メインコンテンツに移動
SEMICON Japan 2024

 

JFEスチール、溶融亜鉛めっき薄鋼板で令和3年度 文部科学大臣表彰を受賞

 JFEスチール( https://www.jfe-steel.co.jp/ )は令和3年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰において、業績名「革新的雰囲気制御による溶融亜鉛めっき薄鋼板製造技術の開発」の成果が認められ科学技術賞(開発部門)を受賞した。

 自動車走行時のCO2排出量削減を目的に、車体部品に使用する鋼板を薄肉化して軽量化することが進められている。これには、鋼板の強度を高めるだけでなく、複雑な形状にするためのプレス加工性および自動車の耐久性を高めるための防錆性を確保することが欠かせない。このため、同社ではプレス加工性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき(ハイテンGA)鋼板の開発を進めてきた。鋼板の高強度化と優れた加工性を両立させるには、鋼板への強化元素の添加が必要となる。しかし、一部の強化元素は、鋼板の製造工程で表面に濃化し、最終工程である溶融亜鉛めっき処理において、表面欠陥の原因となるため、添加できる強化元素量には限界があった。

 同賞を受賞した技術では、従来とは異なる新たなコンセプトで、製造工程の雰囲気を精密に制御することによって、鋼板表面における強化元素の濃化を抑制し、無害化することに成功した。その結果、強化元素の添加量を高めることが可能となり、プレス加工性の指標となる伸び特性が従来鋼と比較して約2割向上した590~980MPa級ハイテンGA鋼板を表面欠陥なく製造できるようになった。この技術により、プレス加工が難しい自動車部品にもハイテンGA鋼板を使用することが可能となり、車体軽量化による燃費向上を通じてCO2排出量の削減に貢献している。

受賞案件:「革新的雰囲気制御による溶融亜鉛めっき薄鋼板製造技術の開発」     
受賞者:長滝 康伸氏(常務執行役員 スチール研究所 副所長)、鈴木 善継氏(缶用鋼板セクター部 主任部員)、 牧水 洋一氏(スチール研究所 表面処理研究部 主任研究員)、髙橋 秀行氏(スチール研究所 圧延・加工プロセス研究部 主任研究員)、金子 真次郎氏(スチール研究所 薄板研究部長)